ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーという米大手自動車メーカー3社(ビッグ3)の行方に世界の注目が集まっている。米国発の金融危機と景気低迷に直撃され、いずれも厳しい経営危機に陥り、破たん懸念まで生じているためだ。政府の支援を受けなければ存続自体が危ないという急迫した状況が続いている。
GM、クライスラーとの合併協議を中断
2008年11月7日のGMの決算発表後の記者会見で、リック・ワゴナー会長が「足元の資金繰りを確保することに専念する必要がある」と述べ、クライスラーとの間で続けてきた合併協議を中断したことを明らかにし、世界中を驚かせた。金融危機の深刻化で急速に資金繰りが悪化していたGMにとって、クライスラーとの合併こそが、生き残りの道だとみられていたためだ。
GMが「足元の運転資金確保に全力を傾注するべきだ」(ワゴナー会長)と判断した背景には、現在の米政権下では、合併の前提としていた政府支援を受けることは極めて不透明な状況との認識がありそうだ。GMは同時に、「来年前半には、政府からの緊急支援がなければ資金が枯渇する」とも表明し、政府の支援がGM存続に不可欠であるとの危機を訴えた。
ワゴナー会長は「破たん申請は考えていない」としている。しかし、GMは大規模な人員削減や工場閉鎖などのリストラ策を相次ぎ発表しても、新車販売の落ち込みがあまりに急で、資金繰りが改善する見通しが立たないのが現状だ。11日には株価が一時、2.75ドルまで下落し、約65年ぶりの安値をつけ、市場の一部からは「破産申請をすべきではないか」との声も出てきた。