ゲームメーカー大手スクウェア・エニックスの「ニンテンドーDS」用ゲームソフト「クロノ・トリガー」が、発売前にインターネット上に流出した。ダウンロードすればゲームが遊べる状態になっている。近年、こうしたゲームソフトの違法アップロードが急増していて、「ウィニー」のネットワークには「DS」用ソフトだけで計185万7988本も流出。「ソフトを買う必要は無い」などという情報もネット上に出現、ゲーム業界は大打撃を受けている。
「ウィニー」に流出した「DS」ソフトは185万本
スクウェア・エニックス広報によれば、RPGゲーム「クロノ・トリガー」のデータ流出を確認したのは2008年11月18日深夜から19日にかけて。ネットの「アップローダー」と言われる場所に、ゲームソフトや画像などが見つかった。「クロノ・トリガー」は08年11月20日に発売されるソフト(希望小売価格4800円)だった。同社広報によれば、誰が何の目的でアップしたのかは調査中で、現在のところは販売目的ではないようだ、とJ-CASTニュースに話している。同社が08年7月に発売した「DS」用ソフト「ドラクエV」も発売前に同様に違法アップされている。
近年はゲームソフトを違法にアップロードするケースが急増。「DS」についてはネット上にあるゲームの複製データを「マジコン」と呼ばれる機器にダウンロード。「DS」のスロットに差込んで遊ぶことが大問題になり、任天堂やソフトメーカーが輸入・販売行為の差し止めを求めて提訴した。コンピュータソフトウェア著作権協会によれば、08年8月10日から2日間に渡り、ファイル交換ソフト「ウィニー」ネットワークを調べたところ、「DS」用ソフトと思われるものが計185万7988本見つかったという。これは「ウィニー」だけの数字で、
「海外を含めたゲームソフトの流出の数は、あまりに多すぎて想像がつかない」
と同協会は話している。
コンピュータ業界の「ハッカー」的な存在
「DS」用ソフトの海賊版販売では、08年11月13日に京都府警生活経済課ハイテク犯罪対策室などが大阪府寝屋川でゲームをネットで販売をしていた有限会社の3人を逮捕。この会社は国内最大と言われた違法販売会社で、ホームページ「DSGAMEJP」に「DSゲームはダウンロードする時代」、「全てのゲームが0~500円」などと明記していた。
しかし、こうした明らかな違法行為は検挙の対象になるが、違法なゲームデータをアップした犯人を見つけるのは困難なのが現状だ。ゲーム業界に詳しいジャーナリストは、今回の「クロノ・トリガー」の流出を含め、ゲームデータを違法にアップする目的は、コンピュータ業界の「ハッカー」ともいえる、とJ-CASTニュースに明かした。ゲームデータをライバルよりも早く解析しネット上にアップ、勝利し、名誉を得る、という人たちなのだという。
「ゲーム機だけを買ってソフトは無料でダウンロードすればいい、と考える若い人が増えている。これではゲーム業界は売り上げが落ち込み衰退してしまう。解析を阻止するプロテクトをかけても破られる、いたちごっこが続くなら、違法ソフトで遊んだ人も厳しく取り締まるべきではないか」
と話している。