国内で「スマートフォン」のリリースが相次ぐなか、グーグルが無償提供する基本ソフト(OS)を搭載した「グーグルケータイ」が国内でも発売されることになった。従来のスマートフォンに比べて割安感があるものの、従来のケータイと使用方法が大きく異なることから、専門家からは「グーグルのヘビーユーザー向け」との声もあがっている。
米国での価格は179ドル(約1万7500円)
NTTドコモは「ブラックベリー ボールド」などのスマートフォンを相次いで投入予定だ
スマートフォンはキーボードやタッチパネルを備えており、従来のケータイよりもウェブサイトの閲覧に適しているとされる。市場も拡大傾向で、国内ではソフトバンクモバイルのiPhone(アイフォーン)が人気を呼んだほか、台湾・HTC製の端末が主流だった市場に、フィンランド・ノキアも参入することになっている。調査会社「ロアグループ」の予測では、2010年までに携帯電話市場の13%程度を占めるとみられている。
そんな中、NTTドコモが、グーグルが無償提供している基本ソフト「アンドロイド」を採用したスマートフォンを発売することになった。いわば「グーグルケータイ」と言える存在だ。NTTドコモ広報部によると、09年度前半にも発売されるという。
日本経済新聞が08年11月19日に1面トップで報じたところによると、「アンドロイド」を利用することで開発経費を圧縮することが可能になり、従来よりも2割程度安い4~5万円で販売される見通しだという。さらに、「グーグルケータイ」なだけあって、グーグルが提供する動画共有サービスなども容易に使えるようになる予定だ。もっとも、同社では、価格については
「仕様も固まっていないし、需要予測もできていない状態では、価格は出しようがない」
と話しており、慎重な姿勢だ。
グーグルケータイをめぐっては、すでに08年10月下旬に米国で発売されており、価格は179ドル(約1万7500円)。端末の割安感や操作性の良さがうけている模様だ。米国で発売されたのはHTC製だが、日本向け端末を製造するメーカーについては、「現段階ではお話しできることはない」(NTTドコモ広報部)としている。
「スマートフォンではないケータイ」に根強い支持
もっとも、専門家からは、グーグルケータイの目新しさに疑問符を投げかける声も聞こえてくる。携帯電話に詳しいジャーナリストの松村太郎さんは、
「スマートフォン化と、『ケータイらしさ』を磨くための動きとのせめぎ合いが続くのでは」
と話す。例えば11月19日には、シャープが800万画素カメラ搭載の2機種を発表したばかりで、ケータイとしては異例の高画質カメラを搭載している。これらの、何らかの特徴を持った「スマートフォンではないケータイ」には一定の根強い支持があることや、既存のケータイとスマートフォンとでは使われ方も異なるため、必ずしも、すぐに「スマートフォン一辺倒」になる訳ではない、との見方だ。
さらに、NTTドコモは11月5日に「『PRO』シリーズ」と銘打ってスマートフォン5機種を発表したばかりで、「グーグルケータイ」は、ドコモのスマートフォンの中でも差別化を迫られそうだ。
松村さんは、
「Gメールだけでなく、普段からグーグル上で地図を見たりドキュメント管理をしているような利用者にとっては歓迎されるのでは」
と話し、いわば「グーグルのヘビーユーザー向けには商機あり」ということのようだ。