BNPパリバ証券東京支店が、経営破綻した新興不動産のアーバンコーポレイションとの資金調達取引を巡って批判にさらされている。アーバンが、パリバとの契約内容をすべて情報開示しなかったことが問題になっていたが、パリバの外部検討委員会(委員長、松尾邦弘元検事総長)も2008年11月11日、「アーバンの非開示はパリバが働き掛けたもので、不適切な取引だ」としたからだ。
「スワップ契約」は開示されず
「顧客であるアーバンへの背信で、市場を軽視した極めて不適切な行為だ」
松尾委員長は11日の記者会見で、パリバの姿勢を厳しく指摘した。
問題になったのは、アーバンが6月、パリバを引受先に300億円の転換社債を発行すると発表した資金調達取引。アーバンは調達資金を「債務返済に使う」と発表。しかし、払込日にアーバンはパリバに300億円を払い戻し、パリバは転換社債を株式に転換したうえで、市場で段階的に売却してアーバンに支払う「スワップ契約」も同時に結んだが、この契約は開示しなかった。契約後、アーバン株は下落。パリバが払い込んだ資金は約91億円にとどまった。
アーバンは8月中旬に民事再生適用の申請を発表した会見で、初めてスワップ契約を開示。「300億円を調達したと信じた投資家を結果的にだました」(大手証券)との批判の声が上がった。
信頼回復を図ろうと、パリバは外部委員会に調査を委ねたが、結果は厳しいものだった。アーバンは当初、スワップ契約も開示しようとしたが、パリバ側は株価下落の要因になるとして非開示を働き掛けたと指摘。松尾委員長は会見で「顧客重視の姿勢が希薄だった」と批判し、「経営幹部の責任は免れない」と断じた。
また、報告書は、スワップ契約は非開示であることを知りながら、パリバがアーバン株の取引を続けたことも問題視。「形式的にはインサイダー取引に該当すると判断している」と批判した。