「ヒーローズ」「ロスト」「24」などの海外ドラマが好調で、レンタルショップでDVDを「まとめ借り」する人が目立っている。シリーズまるごと、ごそっと借りられているのも珍しくない。物価高が続き、外での消費を控えて週末を自宅で過ごす人が増えたのも、背景にあるようだ。
利用者は30歳代の男性が中心
全国にレンタルDVD・CD店を展開しているTSUTAYAで、最近、海外ドラマを数本まとめて借りていく客が増えている。シリーズまるごと、ごそっと借りられている、なんていうこともある。広報担当者は、こうみている。
「ドラマはたいてい良い場面で終わってしまうので、まとめて借りて週末にみているようです。アクションものが多いということもあり、利用者は30歳代の男性が中心です。景気が悪化して旅行は控えても、気軽に楽しめるレンタルはやめない、ということのようです」
1店舗につき、海外ドラマの棚は20ほどあり、幅広い年齢の女性に人気の韓流ドラマから、「ヒーローズ」「24」「ボーンズ」「The O.C.」「デスパレートな妻たち」など最近話題の米ドラマまで幅広く揃える。今では映像レンタルのうち、4分の1を占めている。
一方、既存店(オープン後13か月以上経過した店)のレンタル売上は、CDおよびDVDを合計した公表数値によると、08年7月が対前年比96.3%、8月98.5%、9月92.0%、10月98.7%とわずかに減っている。「韓流ドラマは毎月10数%伸び、海外ドラマ全体は好調だが、邦画と洋画は魅力的なタイトルが少なく、落ち込んでいる」と説明する。
DVD・CDのレンタルチェーン、GEO(本社愛知)でも海外ドラマが好調だ。しかし、直営店月次売上(レンタル)は、7月100.7%、8月97.6%、9月93.3%、10月97.2%と微減している。情報管理部の担当者は、
「消費全体が鈍っているなかで、思ったほど悪くはなかったです」
という評価だ。
無駄なお金は使わないという今の気分に合っている?
ネットやモバイルで借りると、自宅にDVDが届くというサービスを展開している、ぽすれん(東京都豊島区)の担当者は、
「8月に海外ドラマのDVD BOXを半額でレンタルできるキャンペーンを実施したところ、反響が大きかったです。今後もまとめ借りのキャンペーンを検討しています。海外ドラマの影響か、不景気のせいか、わかりませんが、平日にまとめて借りて週末に観るという人が増えていて、レンタルDVDは『安いレジャー』となっているようです」
と話す。
都内の企業に勤める20歳代の女性は、週末になるとDVDをレンタルして過ごすことが増えたという。
「もともと映画や海外ドラマが好きだというのはありますが、週末に少なくとも2本は借りています。最近、どこもレンタル料を値上げしているのは痛いですが、それでも映画館で観るよりは安く、家でくつろいで観られるスタイルも気に入っています。以前にも増して、洋服や化粧品といった本当に欲しいもの以外には、お金をかけなくなったため、レジャーは極力安く済ませたいです。どこかに出かけようとすると、交通費に加え、ちょっとお茶をすれば1000円以上かかってしまいます。家で観ている限り、無駄なお金は使わなくてすみますから、レンタルDVDは今の気分に合っていると言えるのではないでしょうか」