居住地以外の県や市町村に寄付をすると、住民税などが軽減される「ふるさと納税制度」がスタートし、各自治体はお土産を渡すなどして、獲得のために知恵を絞っている。生まれ育ったふるさとに寄付するケースが多い中、滋賀県彦根市のキャラクターで「ゆるキャラ」としても人気の「ひこにゃん」を応援する目的で設けられたユニークな納税制度に、全国各地から寄付が集まっている。2か月あまりで100万円を越えた。
8割が「ひこにゃん」への寄付 最高額は「25万円」
彦根市の「ふるさと納税」は、彦根城をはじめとする歴史文化遺産を保存・整備するための事業、子供たちの教育環境を整備する事業などの全6つの事業ごとに分かれている。募集を始めた2008年9月19日から11月11日までに、合計166万円(145件)が集まった。ところが、このうちのほとんどが、市のマスコットキャラクター「ひこにゃん」の活動をサポートする「みんなのひこにゃん応援事業」に寄せられたものだという。100万7000円(115件)にものぼり、寄付全体の8割を占めている(件数ベース)。
彦根市街づくり推進室の室長は、
「ひこにゃんと会い、ファンになったとか、癒されたという観光客が寄付するケースが多いです。中には、自分の住んでいる町に来て欲しいので、そのための活動資金として寄付をする人もいます」
1人あたりの寄付金は、5000円(1口)が多い。ちなみに最高額は、なんと「25万円」だという。また、10月25、26日に市内で開催した「ゆるキャラまつり」で、約9万円(18件)が集まった。
ぞくぞくと集まる理由は、こんなところにもある。5000円以上を寄付すると、「ふるさと彦根たっぷり満喫! 年間パスポート」がもらえ、彦根城などの4施設への年間入場料が無料になるからだ。
「パスポートにはひこにゃんが写っていて、『ひこにゃんグッズ』としても人気を呼んでいます。これが欲しくて寄付する人もいるようです」
交通費、クリーニング代に使われる
集まった資金は、ひこにゃんが全国各地で行われるイベントに出るための交通費に使われる。また、同市のホームページによると、「ひこにゃんお手入れ費用」にも使う。「きれい好きのひこにゃんを、いつもふわふわで真っ白に保ちます」と説明され、主にクリーニング代になるようだ。
全国にはひこにゃんの他にも、地域にちなんだ「ゆるキャラ」が多数ある。「goo!」が行った「これはゆるい!」と思う「ご当地ゆるキャラ」ランキングで、1位は「せんとくん」(奈良県)、次いで「テレビ父さん」(北海道)、「い~ねくん」(広島県)などがあがっている。ただ、キャラクターに関連した「ふるさと納税制度」は、設けられていない。