「できるだけ小刻みにしたかったのでは」
財務省には「米欧が利下げし、日銀が金利を据え置くと、米欧と日本の金利差がさらに縮小して、円高が一段と進行してしまう」との懸念があった。市場では「ドルが円以外で上昇している状況では、円売り・ドル買いの協調介入は難しい」との見方が一般的。このため、「日銀も利下げに王手がかかった」との観測が急浮上していた。
決定会合では0.2%の利下げを白川総裁が提案。白川総裁と山口副総裁、西村清彦副総裁、野田忠男審議委員の4人が賛成したが、残る審議委員4人(須田美矢子、中村清次、亀崎英敏、水野温氏の各氏)が反対し、賛否同数だったため、白川総裁が02.%利下げを決定した。決定会合を開く政策委員会の定員は9人だが、ねじれ国会のあおりで審議委員1人が空席となっており、賛否同数という異例の事態を引き起こした。
反対した4人のうち、3人は0.25%の利下げを主張し、1人は「利下げ効果は限定的」と据え置きを求めた。8人のうち7人が利下げ自体には賛成したが、利下げ幅で意見が割れたことになる。白川総裁は0.2%にとどめた理由を「金利を下げすぎれば、(金融機関が資金を融通する)短期金融市場の取引が細り、かえって資金の流れが悪くなる」と説明。ただ、市場では「利下げ余地が乏しいので、さらなる利下げをにらんで、できるだけ小刻みにしたかったのでは」との観測も流れている。