「親切心」で迷子女児連れ回し それで逮捕は可哀そうなのか

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   迷子の女児を「親切心で」連れ回した男の逮捕を巡って、ネット上で論議になっている。親切心で案内なら未成年者誘拐とは酷い、といった声も出ているのだ。ただ、全然知らない子を連れ回すこと自体疑われて当然、との見方もある。迷子を見つけたら、どうするのがよいのか。

ネットでは、警察批判の声が相次ぐ

「逮捕&実名公表はあまりに気の毒」
「誰も人助けなどしなくなり、自分のことだけしか考えなくなる」
「嫌な世の中になったもんだ」

   埼玉県内で2008年10月26日、無職の男(20)が小学1年の女児(6つ)を連れ回し、未成年者誘拐の現行犯で逮捕された。マスコミでは、迷子の女児を祖母宅まで車で送り届けようとしたと報じられ、直後からブログや2ちゃんねるなどでは、こんな警察批判の声が相次ぐようになった。

   報道によると、この男は26日午後2時過ぎ、自宅近くの歩道で泣いていた女児に声をかけ、女児は、母親に叱られ祖母の家に行きたいと話した。そこで、自分の車に乗せて1時間半運転し、祖母宅を聞くため交番に寄ったところ逮捕された。男は、「親切心からやったのに納得がいかない」と供述している。

   その後、愛知県内でも、交番まで女児を連れて行くというケースがあった。小学2年の女児3人が、母親とはぐれた女児(3つ)と一緒に自宅を探して無事保護につながったというものだ。中日新聞が11月12日、3人が愛知県警から表彰されたと報じると、ネット上では、これに比べて埼玉県警のケースは酷いという声が上がるようになっている。

   そこで、J-CASTニュースでは13日午後、埼玉県警広報課に逮捕の理由と送検の有無などを取材しようとした。しかし、質問を吟味して答えないといけないとの理由から、同日中の回答は得られなかった。

大澤孝征弁護士「全然知らない子の連れまわしは疑われて当然」

   もしわいせつなどの目的でなく、親切心から女児を連れ回したとしたら、容疑者の男は本当に逮捕に値するのか。

   テレビのコメンテーターとして知られる元検事の大澤孝征弁護士は、こう語る。

「全然知らない子を車で1時間半も連れ回すなんて、疑われて当然で警察も疑いを持たないといけません。判断力が十分でない6歳の女の子なら、いたずらされることもよくある状況です。親切心からでも、家出した子を自分の家に連れて行って捕まったケースもあります。警察が身柄を確保したことは、必ずしも非難できませんね」

   さらに、親の立場に立って考えることが必要と話す。

「親なら、1時間半も連れ回されたらその間に何かあったのでは、と考えると思います。未成年者誘拐の本質は、親権者の監護権を侵害してはならないということです。親の保護の範囲から逸脱するような行為は、誘拐になります」

   では、迷子の幼児を見つけた場合、どうすべきなのか。

   大澤弁護士は、「幼児をそのまま警察に連れて行くならいいと思います。直接行くなら、車に乗せてもいいでしょう。親切心は大事ですが、親のところに帰すのが本来するべきことです」と話す。

   容疑者の男が交番に寄ったことについては、大澤弁護士は、「確かに、交番に寄るなら犯罪の意図はないとの見方はあるかもしれません。しかし、客観的に見れば、誘拐状態の認識となるのは仕方がありません」と言う。

   容疑者の実名発表も、事件である以上仕方がないという。マスコミ各社では、TBSが実名報道したのに対し、朝日新聞、産経新聞などは匿名報道と対応が分かれた。事件報道は実名が原則とされるが、朝日では、「取材したところ、犯罪性などに疑問点もあったため、容疑者名は匿名とするのが妥当と判断しました」(広報部)としている。

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