大澤孝征弁護士「全然知らない子の連れまわしは疑われて当然」
もしわいせつなどの目的でなく、親切心から女児を連れ回したとしたら、容疑者の男は本当に逮捕に値するのか。
テレビのコメンテーターとして知られる元検事の大澤孝征弁護士は、こう語る。
「全然知らない子を車で1時間半も連れ回すなんて、疑われて当然で警察も疑いを持たないといけません。判断力が十分でない6歳の女の子なら、いたずらされることもよくある状況です。親切心からでも、家出した子を自分の家に連れて行って捕まったケースもあります。警察が身柄を確保したことは、必ずしも非難できませんね」
さらに、親の立場に立って考えることが必要と話す。
「親なら、1時間半も連れ回されたらその間に何かあったのでは、と考えると思います。未成年者誘拐の本質は、親権者の監護権を侵害してはならないということです。親の保護の範囲から逸脱するような行為は、誘拐になります」
では、迷子の幼児を見つけた場合、どうすべきなのか。
大澤弁護士は、「幼児をそのまま警察に連れて行くならいいと思います。直接行くなら、車に乗せてもいいでしょう。親切心は大事ですが、親のところに帰すのが本来するべきことです」と話す。
容疑者の男が交番に寄ったことについては、大澤弁護士は、「確かに、交番に寄るなら犯罪の意図はないとの見方はあるかもしれません。しかし、客観的に見れば、誘拐状態の認識となるのは仕方がありません」と言う。
容疑者の実名発表も、事件である以上仕方がないという。マスコミ各社では、TBSが実名報道したのに対し、朝日新聞、産経新聞などは匿名報道と対応が分かれた。事件報道は実名が原則とされるが、朝日では、「取材したところ、犯罪性などに疑問点もあったため、容疑者名は匿名とするのが妥当と判断しました」(広報部)としている。