「アパ」田母神氏の「核武装談義」 民主鳩山幹事長も出席していた

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   政府見解と反する論文を発表したとして航空自衛隊の田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長が更迭・定年退職となった問題で、田母神氏は2008年11月11日、参院外交防衛委員会に参考人として招致された。野党側は同氏の歴史認識をただすなどして政府・防衛省の任命責任を追及した。ところが、批判の急先鋒であるはずの民主党の鳩山幹事長と田母神氏が、問題となった懸賞論文を主催していた「アパグループ」広報誌(2004年)で、核武装論議を交わしていたことが明らかになった。さらに、広報誌の別の号の座談会には、浜田靖一防衛相も出演。座談会の出席者からは中国への弱腰ぶりを批判する声が相次いだ模様だ。ただ、鳩山幹事長らは「文章は全くあずかり知らぬもの」などとしている。

「核武装を行うことが必要かもしれない」というくだりも

広報誌では、田母神氏や鳩山氏が懇談する様子が紹介されている(「アップルタウン」04年11月号より)
広報誌では、田母神氏や鳩山氏が懇談する様子が紹介されている(「アップルタウン」04年11月号より)

   民主党の鳩山由紀夫幹事長は、問題発覚直後の11月1日には

「諸外国、特にアジアの国々にどんな影響を与えるか、大変心配。『将来、また日本が何をするか分からない』という恐れを(国外に)与えるなら、政府全体の大きな責任」

など、まるで「田母神氏と自分は『水と油』」と言わんばかりに批判した。

   ところが、この両者、席を同じくして「核武装談義」を行っていたことが明らかになったのだ。

   座談会が行われたのは、田母神氏が応募した懸賞論文を主催した「アパグループ」が発行する広報誌「アップルタウン」誌上。同誌では、元谷外志雄アパグループ代表夫妻が政財界要人と懇談する企画「日本を語るワインの会」が掲載されており、田母神氏と鳩山氏夫妻は、連載17回目の04年11月号に登場した。座談会の場には、大島信三「正論」編集長(当時)も登場した。誌面では、一問一答形式ではなく、発言者が特定されない形で座談会の要旨がまとめられている。その内容が、今回の「田母神論文」と同様、議論を呼びそうなのだ。

   例えば、こんな具合だ。

「南京で大虐殺があったとの報道じゃ中国の情報謀略戦の一つであって、日本の悪業を主張することで、アメリカなど世界の支持を得て戦争を有利にしたものだ」
「自衛隊は誰が見ても軍隊なのに、これをあいまいな解釈論だけで、まやかしで維持していることが諸悪の根源なのではないだろうか。やはり憲法を改正して、自衛隊を自衛軍にする」
「中国に対抗する勢力を作り、それを中国に認めさせるためには、日本が自立した国となり核武装を行うことが必要かもしれない」

   そして、座談会は、このような一文で終わっている。

「最初から『日本は核装備を絶対しない』と宣言するのは馬鹿げたことだ」

   日本の基本政策である「非核3原則」を真っ向から否定する趣旨の発言なだけに、仮に発言者が特定された場合、波紋を呼ぶことは必至だ。

   また、座談会中では鳩山氏が「核武装論」に対して明確な反論を行ったことを読み取ることはできない。

   一方、民主党役員室は、「文章は全くあずかり知らぬもの」などとファクスでコメントを寄せた。

「ご自宅でのワイン愛好の集まりにとのご招待があり、お断りするのも失礼かと思い、夫婦で一度出席した覚えがあるが、社内報・ホームページのお話もなく、文章もまったくあずかり知らず、その後何のおつきあいもないとのことです。もともと政治談議の場ではないという理解で夫婦で出席したが、全体のムードもお話も特異なことが多かったため、ほとんど話もせず、失礼にならないように中座したことを覚えているとのことです」
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