連日のホテルバー通いが物議を醸している麻生首相が首相就任以前に通っていた立ち飲み居酒屋がある。日本酒にはこだわりがあって、熱燗好き。大吟醸のような高級酒はダメで、「俺は安くてウマい酒が飲みたいんだ」と言っていたそうだ。
宮内庁御用達 霞ヶ関でも有名な立ち飲み屋
「鈴傳」外観。最近では「日本酒の聖地」として紹介されることも
麻生首相が通っていたのは、四ツ谷駅から徒歩5分ほどにある、「スタンディングルーム 鈴傳(すずでん)」。夕方6時過ぎになると、仕事帰りのサラリーマンで賑う典型的な立ち飲み居酒屋だ。価格も、さつま揚げや牡蠣フライなどの日替わり惣菜が350~400円、日本酒1杯380円からと、極めて庶民的な店だ。
だが、ただの居酒屋とは違う。隣に併設されている酒屋は創業1851年。明治から宮内庁御用達の店と知られていた伝統ある店なのだ。立ち飲み居酒屋は戦後間もない頃にできた。当時四ツ谷には、旧大蔵省などの官庁施設が多く置かれており、そのころから官僚や政治家が多く訪れていたという。記者が訪れた際も、国交省に勤務していたという男性客が日本酒談義に花を咲かせていた。
熱燗にすると美味しい酒が好きらしい
麻生首相がお気に入りだという千葉の地酒「福祝 特別純米」
麻生首相はこの店に10年ほど前から年数回来ているという。17~21時の営業時間中に、30分ほど500~600円の日本酒を2~3杯飲んでいくこともあれば、昼間に酒屋の方に来て日本酒を仕入れていくこともある。
日本酒に関してはこだわりがあるようで、買っていくのは、千葉の地酒「福祝」や岡山の「大正の鶴」など、熱燗にすると美味しい酒とのこと。特に「福祝 特別純米」は毎回買っていくらしく、かなりのお気に入りのようだ。一升瓶ではなく、1300~1500円ほどの4合ビンを何種類も買っていくという。
「いつも『高い酒はいらねえ。俺は安くてウマい酒が飲みたいんだ』って言ってますね。普段は高くて大吟醸のように香りの華やかなお酒を飲んでいるみたいですが、そういうお酒は疲れるんだそうです。麻生さんは本物の酒好きですよ」
と、従業員の男性はいう。
店内には、麻生首相が女将と並んで微笑む写真が飾られていた。首相就任前、2008年4月に訪れた際のものだという。
「スポーツ新聞とかで『口が曲がっている』なんてひどいこと書かれていますけど、本当にかわいそう。麻生さんは気さくで偉ぶらない、とってもいい人ですよ。首相になってからはまだいらしてませんけど、きっと忙しいんでしょうね」
ホテルのバーで葉巻片手にブランデーを飲むのが好きと報じられた麻生首相。一方で「安くてウマい」日本酒を気楽に立ち飲みもする。どちらが好きなのだろう。