アニメやゲームの「二次元キャラクター」との結婚を法的に認めて欲しい――。そんな署名活動がネットで始まっている。好きなキャラクターを「オレの嫁」と表現するファンがいるが、それどころか今度は実際に結婚してしまおうというものだ。もちろん実際の結婚とは別物だが、「法律ができたとしてもキャラの作者が結婚を許可するのか」などという問題や、「オレの嫁に手出すんじゃねーぞ」といった「奪い合い」がネット上で激しくなるのでは、といった話題で盛り上がっている。
「まともに話してくれそうな女の子と言ったら二次元」
この署名活動はオンライン署名サイト「署名TV」で2008年10月22日から始まった。企画者は100万人の署名を集めて、日本政府に認めさせたいとしている。書名を呼び掛ける文には、
「もはや、僕たちは三次元 (人間の女性)には興味がない」
と書かれている。しかし二次元の世界の住人になるのは無理なため、
「せめて二次元キャラとの結婚を法的に認めてもらうことはできないでしょうか?」
となっている。この法案が実現したらならば、企画者は人気アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」に登場するキャラ「朝比奈みくる」と結婚する予定なのだそうだ。
署名は08年11月6日現在で2345人分集まっている。署名した人のコメント欄には、
「この署名を知った時、やっと同じ考えの方がいたことに嬉しく思いました」
「今、僕とまともに話してくれそうな女の子と言ったら二次元しか考えられないのです」
「雛ー!!俺だー!!結婚してくれー!!」
などが並んでいる。
「オレもオタクだけれど正直これはキモイ」
熱狂的なアニメファンはアニメのDVDだけでなくキャラのフィギュアやポスターを集め、寝る時はキャラが描かれた抱き枕を使い、自動車もキャラをペイントした「痛車」に乗る。生活そのものが好きなキャラ一色になることも珍しくない。今回の署名は「冗談」と考えている人も多いのだが、彼らがある意味で真剣なのは間違いないようだ。
もっとも、法案提出までには様々な問題を抱えている。コメント欄には、「入籍となれば『親』である作者の承認が必要?」「恋人がいるキャラが、人間との結婚を承認するの?」といったキャラクターならではの不安も出ている。また何人もの人が同じキャラと結婚する可能性もあり、「重婚」が大きな問題になるなど、人間世界と同じような議論が交わされている。
「敷島クルルは俺の嫁。誰も手出すんじゃねーぞ」
「スピカは俺の嫁!!!!絶対誰にも渡さない!!!!今ここに宣言するスピカは俺だけのものだ!!!!」
など、早くもキャラの奪い合いも始まっている。
「ニコニコ動画」には08年11月5日、この署名活動を紹介する動画「二次元キャラとの結婚を法的に認めてくださいのコメが痛すぎる」がアップされた。女性からのコメントと思われるものを集めた動画で、これを見た人たちからは、
「オレもオタクだけれど正直これはキモイ」「人間ですらねぇ」「妄想するなとはいわん。ただすこしは現実を見ろ」「オレは賛成でも良いが、人生それでいいのかい?」など、相当引いてしまった、といった感じのコメントばかりが寄せられている。