トヨタこければお膝元も 名古屋の「景気神話」9月から陰り

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   1兆円もの業績予想下方修正で経済界にショックを与えたトヨタ。そのお膝元近くにある名古屋では、2008年9月ごろから景気に陰りが出始めたというのだ。愛知万博、高層ビルオープンに沸いたのは今や昔、その「景気神話」も終わってしまうのか。

自動車、工作機械など輸出産業の大ダメージが響く

「じわじわと実体経済に影響を感じます。大変だなとの受け止めです」

   トヨタ自動車が巨額の減益見通しを明かした翌日の2008年11月7日。名古屋商工会議所の広報担当者は、J-CASTニュースの取材にこう切り出した。

   名古屋は、2005年の中部国際空港開港、愛知万博、そして07年のJR名古屋駅前の高層ビルオープンと続き、「全国に比べて高い経済パフォーマンス」(広報担当者)を誇っていた。しかし、ここ2か月ほどはその景気に陰りがみられるようになっている。

   東海3県の日銀短観によると、大企業・製造業の9月の業況判断指数DIは、前回6月のプラス9から転じて、マイナス9。18ポイントもの大幅な低下で、しかもマイナス転落は5年ぶりのことだった。日銀は、10月も「下降局面にある」との景気の総合判断を発表している。

   名古屋商工会議所によると、「名古屋景気」はこれまで、自動車関連や工作機械といった輸出産業が大きな支えになっていた。原油高などで消費不況が続いていた中で、名古屋が強かった理由の一つだ。ところが、金融危機による欧米経済の低迷や急激な円高が進んだことで、その輸出産業が大きなダメージを受けている。

   そして、トヨタが11月6日、09年3月期の連結決算で営業利益が前期比73.6%減となる見通しを示し、その姿が鮮明になってきた。期間従業員を08年3月から1年間で3分の1にも減らすことで、雇用不安による影響も懸念されている。商工会議所でも、「消費に影響が出てくる恐れもある」とみており、名古屋景気も曲がり角に立った可能性が出てきた。

落ちたといっても全国並みになったということ

   ただ、すべてにわたって悪影響が出ているわけでは、まだないようだ。

   名古屋駅前で2007年3月6日にオープンした高層ビル「ミッドランドスクエア」。ビジネス・商業施設が入っており、トヨタの海外・国内営業部門のオフィスやショールームもある。名古屋商工会議所によると、オープンでもたらされた駅周辺のにぎわいは、経済に陰りが出始めた08年9月以降も変わりないという。

   ビルを運営する東和不動産によると、オープン後1年間で1700万人が訪れ、その後やや減少ぎみのペース。しかし、「経済的な影響はあるかもしれませんが、2年目だから減っている要因が大きい」(総務広報室)とみている。トヨタでも、ビル内のオフィスについて、「人員削減や縮小などはしていませんし、その予定もありません」としている。

   さらに、商工会議所では、「名古屋は、有効求人倍率では、今でもトップクラスです。企業の生産もまだ高いレベルにあり、景気が下降したといっても全国並みになったということです」と話す。

   もっとも、輸出産業がピンチの今、何も手を打たなければ「名古屋景気」の先行きは厳しい。商工会議所では、様々な工夫や努力によって内需を拡大できるかがカギになるとみる。

「万博は、名古屋の企業からも環境技術が持ち寄られ、『環境万博』と呼ばれたほどです。そんな企業をうまく活用すれば、ビジネスチャンスになると思っています」(広報担当者)

   さらに、中部国際空港に2本目の滑走路を作り、24時間化することを国に訴えたいという。「そうなれば、航空貨物の輸出が盛んになります。先を読んだ投資が大事だと思っています」

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