慶応大が創立150周年を迎えるにあたり、卒業生から250億円超の寄付が集まった。慶大の卒業生は30万人に上るといわれるが、これほどまでに寄付金が集まるのはなぜなのか。背景には、他校から見ても際立つ「愛校心」ならぬ「愛塾心」がありそうだ。
5年間での目標を3年間で達成
慶大には卒業生から250億円超の寄付があった
「慶應義塾創立150周年記念事業募金につきましては、お蔭様をもちまして目標額の250億円に達するお申込みを頂くことができました。これは広く社会各界から寄せられた信頼と期待と社中一致の精神によるものと深く感謝いたしております」
慶大が創立150周年を迎えるにあたり、学長などのコメントが記念事業のホームページに2008年10月に掲載された。2008年11月8日には慶大・日吉キャンパス(横浜市)で、1万人規模の式典が行われる。「慶應義塾 創立150周年記念事業」では、同大の同窓会組織「三田会」などを通じて、05年10月から記念事業への募金を呼びかけたが、08年9月末までに目標額250億円を超える、255億円が集まった。募金期間は2010年9月までとしており、5年間での目標を3年間で達成したかたちだ。
慶大では、150周年記念事業に10年間で900億円超の資金総額を見込んでいる。日吉キャンパスでは、複合施設「協生館」の建設したほか、大学院「システムデザイン・マネジメント研究科」、「メディアデザイン研究科」の新設などの事業計画を進めている。卒業生からの寄付金はこれらの事業の一部に充当される。
「三田会」の組織力がパワーを生む
寄付金が250億円を超える背景には、同窓会組織「三田会」の存在がある。「三田会」といっても、その数は800以上に上り、職種などによって組織される「職域三田会」、地域ごとに結成される「地域三田会」など多種多様。各「三田会」のホームページでも、募金を呼びかけるなど、「三田会」の組織力が一役買っているようだ。創立150周年記念事業室では、「三田会もそうですが、卒業生に母校がそれだけ信頼されていることがあると思います」と述べており、卒業生の「結束力」が背景にあるとの見方だ。
慶大では125周年記念事業(83年)の際も、当初の目標額150億を大幅に超える192億円を達成した。ちなみに、卒業生が50万人を超えるといわれるライバル早大では、07年の125周年記念事業で卒業生からの寄付金が202億円(08年9月末時点)に上り、目標額200億円を達成している。母数から考えれば、「三田会」の「愛塾心」がややリードしているといった見方もできそうだ。
慶応義塾広報室では、
「これまで100周年、150周年と記念事業がありましたが、250億円を超えるのは初めてのこと。塾長はじめ、全国の企業や個人の方々に寄付をお願いして、目標やビジョンにご理解頂いた結果だと思います」
と話している。