児童名、「倒産確実」社名ゾロゾロ グーグルマップで情報漏れ騒動

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   グーグルマップに利用者が書き込めるサービス「マイマップ」で、個人情報が晒されてネット上で騒ぎになっている。小学校の児童名、住所や、「倒産確実」などとした企業名、コレラ保菌者発生地などまである。無意識にか、意図的にか公開設定にしたため、検索で次々に暴露されたらしい。もっとも、真実とは思えないものも含まれている。

静岡県内の市立小学校児童34人の名前

「国内コレラ保菌者発生地別表」は何の目的?
「国内コレラ保菌者発生地別表」は何の目的?
「文科省から個人情報がネット上に載っていると電話があり、早速確認したところ、確かに2年生クラスの名簿がありました。今は、どういう状況で載ったのか調査しています」

   グーグルのサービス「マイマップ」で晒されていたのは、静岡県内の市立小学校の児童34人の名前や住所など。同市教委の学校教育課長が2008年11月4日夕、J-CASTニュースの取材に対して明らかにした。

   マイマップは、07年からサービスが始まり、グーグルマップ上に目印やコメント、名前や住所などを書き込める。プライバシー設定で、「非公開」も選べるが、最初は「公開」になっている。

   ネット上では、11月2日ごろからキーワード検索で次々に個人情報が見つかると話題になり、2ちゃんねるのスレッドやまとめサイトで児童名などの個人情報流出例が報告される騒ぎになっている。

   静岡のケースでは、マイマップ利用者は、無意識にか意図的にか、4月13日から「公開」状態にしていた。市教委によると、同校の校長がグーグル日本法人に「非公開」設定にしてもらうようメールで連絡を取ったという。しかし、これまでに2000人ほどが閲覧していた。

   市教委学校教育課長は、「利用者がだれなのかは、まだ確認できないでいます。悪用による被害については、まだ聞いていません。いずれにしても個人情報が出てしまったので、今晩中に保護者を一軒一軒回って謝罪することにします。今後は、校長会で気をつけるよう呼びかけるなど対策を徹底したい」と話している。

セガでは、アルバイト応募者115人情報流出

   個人情報公開は、ほかにも多数の例がある。

   企業情報も漏れており、ゲームメーカー大手のセガでは、アルバイトスタッフ応募者115人の個人情報がネット上に流出した。同社によると、採用担当者が勤務地検討などのため、名前、住所、生年月日、現在の職業、志望動機などを書き込んでいた。08年11月3日に消去し、不正利用の被害は確認されていないという。広報部では、「そもそも外部のネットサービスを利用することが間違いですが、その際もセキュリティの設定を適切に行っていませんでした。応募者の方には、本日中に連絡して経緯説明やお詫びをしたい」としている。

   情報流出の中には、「倒産確実」というタイトルのリストも。企業名の前に「近日倒産確実」「業績急落」などと書き込まれており、中には大手建設会社名もある。なぜか「重大災害発生」などと書き込んだケースもあった。08年7月28日に作成され、これまでに1万5000人ほどが閲覧していた。コメントには、「2ちゃんでさらされてたのできてみたよ」といった書き込みがあった。

   「業績急下降・倒産確実」とされた東京・新宿の建設会社では、取材に対し、「何を根拠にそう言っているのか分からない」と困惑した様子。「東京証券取引所などで情報開示をしていますし、それを元に判断していただきたい」と話す。影響はないと考えており、削除依頼などの対応をする予定はないという。

   このほか、「国内コレラ保菌者発生地別表」というものや、透析患者の住所とみられるリストもあった。コレラ保菌者のものでは、全国で94か所に目印がつけられ、「3-0-1」といった番号や地名などが書き込まれていた。なぜか「密航朝鮮人」という記述が多く、「海水汚染」「魚」といった書き込みもあった。 6月22日に作成され、1万2000人以上の閲覧者がいた。

   厚労省結核感染症課の担当者は、「九州での発生は少ないのに多く報告するなどしており、うちのデータからの引用は考えられません。『密航朝鮮人』という記述も、分からないとしか言いようがない。研究用でもなさそうで、とてもまじめなものとは思えない」と首をひねる。透析患者の住所とみられるリストは、すでに公開ではなくなっている。

   相次ぐ個人情報公開について、グーグルの広報担当者は、「無意識になされたものか、意図的なものかは分かりません。しかし、利用規約にかなりこまかく違反事項が書かれており、それを無視したことになります。利用者には、規約を守ってほしいとお願いしたい」と話している。

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