アナログレコード小売大手のシスコ・インターナショナルが売れ行き不振から、廃業に追い込まれ、近く破産を申し立てる。ひと頃の「DJブーム」で一息ついたが、3~4年前からDJの「レコード離れ」が目立ち、それが響いたようだ。
東京・渋谷で閉店相次ぐ
クラブミュージックレコード小売大手シスコ・インターナショナルが2008年10月31日に廃業した。現在、破産申し立ての手続きを進めている。
DJ用の輸入レコードなど、クラブミュージックを中心に取り扱っていた同社は、東京と大阪の直営店「CISCO RECORDS」全店舗を07年12月10日に閉店し、それ以降はオンライン販売にシフトしていた。同社はJ-CASTニュースの取材に対し、
「この1年、企業再建をかけて努力しましたが、力が及びませんでした。音楽ソフト市場が慢性的に縮小していることに加え、クラブミュージックが他のジャンルに比べて厳しさを増していることがこたえました」
と語る。
状況が厳しいのはシスコだけではないようだ。レコード店の多く集まる東京・渋谷でも閉店が相次いでいる。HIPHOPやR&B系といったダンスミュージックを扱う大手小売店「マンハッタンレコード」は07年11月に1店舗を閉鎖。「HOMEBASS RECORDS」も08年1月に閉鎖した。そのほかいくつかの店が閉鎖した。
日本レコード協会によると、レコードの生産数は1998年に118万6000枚、99年に298万5000枚とピークに達し、その後減少の一途をたどり、2007年は32万4000枚まで落ち込んだ。国内で唯一、自社工場を持つレコード制作会社、東洋化成(神奈川県横浜市)の事業部担当者は衰退の理由についてこう明かす。
DJもレコードからCDやパソコンを使うように
「1990年代から2000年までDJブームが到来し、レコードの売上げが急増しました。ところが3~4年前からCDやパソコンを使うDJが増えて、需要は減っています」
世界のクラブミュージックを配信するサイト「WASABEAT」が07年1月にオープンし、これまでアナログでしか購入できなかった音源や日本未入荷の曲がダウンロードできるようになった。1曲あたり数百円で、レコードに比べて安く、ノートパソコンにダウンロードすれば何曲でも持ち運べるというメリットがある。また、レコードに近い形で操作できるDJソフトも数年前に発売。音楽環境の進化がDJの「レコード離れ」に拍車をかけている。