横浜港の夜景が見渡せて、デートスポットとしても人気がある「横浜ベイブリッジ」で、飛び降り自殺が増えている。この数年間は年間0~2人程度だったのが、2008年は10月時点ですでに6人。管理する首都高と神奈川県警は近日中に、落下防止網の設置などを検討する。
タクシーを止めて、飛び降りた人もいる
08年にベイブリッジから飛び降りた自殺者は10月時点で6人。04年~07年は年間0~2人程度だったので、08年から急増している形だ。
上下二層構造の道路橋で、横浜港の大黒ふ頭と本牧ふ頭を結ぶ。橋長は860メートル。上層部が首都高速道路湾岸線、下層部が国道357号になっている。下層部には展望スペースが設けられていて、夜には港の夜景を見渡すことができるデートスポットとしても知られている。
飛び降りが起こっているのは上層部だ。道路の脇に駐車するスペースがあり、車で乗り付ける場合が多い。中には、橋の上で気分が悪いといってタクシーを止めて、飛び降りた人もいる。
橋を管轄しているのは、神奈川県警の山手警察署と鶴見警察署。海上については横浜水上警察署だ。6人のうち、5人の遺体が上がっている。
山手警察署の担当者はこう明かす。
「新たな自殺の名所、なんてことにならないといいですが…。このあたりの海には大型船が頻繁に通ります。遺体がスクリューに巻き込まれてぶった切られてしまい、いい死に方とは言えませんよ」
途中で止まった車には拡声器で注意を呼びかる
飛び降りが増えている理由はわからないが、防御対策にも問題がありそうだ。側面には高さ約1.1メートルの防護柵が通路を挟んで2つ設けられているだけ。大人なら乗り越えられる高さだ。
首都高速道路広報担当者はこの理由について、
「建設時は人が飛び降りることを想定していませんでした。あくまで車の落下防止のための柵です」
と説明する。
そうはいっても、これ以上増えては困るので、夜間のパトロールを強化することにしている。また、橋を写したモニターを監視し、途中で止まった車には拡声器で注意を呼びかる。
一方、警察関係者は柵を高くするか、落下防止網を設置するといった要望を出している。
高い柵や網には飛び降りを抑止する効果がある。橋の造りがよく似た東京・台場のレインボーブリッジで、04年以降に起きたのは07年の2件のみ。ベイブリッジとの違いは、橋の下に幅2.5メートルにわたる落下防止用の網を張っている点だ。
首都高の広報担当者は、
「単純に、柵を高くすればいいというものではありません。風が強く、柵が落下してしまう危険があります。構造上可能かどうか、検討しているところです」
と話す。
近日中に、神奈川県警高速隊と対策会議を行い、対策を詰める予定だ。