内定取り消し、泣き寝入りしかないのか
関西でも内定の取り消しが相次いでいるようだ。10月29日付け「朝日新聞」によると、関西の私立大に通う学生は10月中旬、内定をもらった東京の大手メーカーから、電話で内定を辞退するよう促された。大阪市の不動産会社に内定していた男子学生は9月下旬に呼び出され、取り消しを告げられた。
事態を重くみた大学側は、これから就職活動を進める大学3年生向けに講座を開いている。大阪府立大は「危ない企業の見分け方」をテーマにした講座を10月29日に開催。200人の学生が参加した。関西学院大は「景気と企業の採用活動の関連性」を題材にしたセミナーを11月に開く予定だ。
企業は正当な理由があれば、内定を取り消すことができる。例えば、内定者が内定後に犯罪を犯したり、学歴を詐称していたりした場合だ。経営の悪化が内定取り消しの正当な理由に当たるかは微妙だが、企業側の一方的な事情で取り消した場合、内定者は法的手段を取ることができる。東京・中央労働局の担当者は、
「内定を取り消されて損害をこうむった場合、損害賠償請求ができます。例えば、内定をもらい、他の会社を辞退した場合などが考えられます。損害額は『次の就職が決まるまでの期間×支払われるはずだった月給』が妥当なラインでしょう」
と説明する。
また、こうも言える。内定を取り消した会社は訴えられなくても、大学内で知られたら翌年から応募が来なくなったり、ネットに書き込まれて「企業イメージ」が悪くなる。リスクを承知した上で、断っているとすれば、相当、業績が悪化しているということだ。学生にとっては就職する前にわかり、不幸中の幸い、だったかも知れない。