米国発金融危機後の中国経済 8%台の安定成長続けられるかが鍵
東洋学園大学 朱建栄教授に聞く

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2015-20年には、国政レベルでの民主化を迫られる

――中長期的には何が問題ですか。

   高齢化の進行は大問題です。2020年には日本に追いつくとまでいわれていています。「ひとりっ子政策」もあって中長期的には若い人がどんどん減っていく。その影響が雇用に表れ、2015~20年には雇用の供給が需要を下回る。つまり大変な人手不足時代がやってくるのです。
   もうひとつは国民の権利意識の高まり。社会に改善を求める動きは社会の進歩の表れで、悪いことばかりではないが、これが民主化運動へとつながる可能性があります。中央政府としては、生活格差などで積もった民衆の不満をなだめすかし、ゆっくりとしたスピードで、時間を稼ぎたい。それでも、おそらく2015~20年には、国政レベルでの民主化を迫られると見ています。政治面での民主化は不可避です。混乱が起きなければと思っています。

――中国の市民に日本はどう映っているのでしょうか。

   いまや世界が中国抜きでは回らないように、中国もまた国際社会なしでは生きていけない。日本にとっても中国はなくてはならない存在だし、中国にとっても日本は必要です。相互依存という言葉通りの世界になっているのです。「食」の問題にしても、日本は中国に改善を求めながら、中国と付き合っていかなければなりません。

――日本への注文は?

   いろいろありますが、いまの日本人に欠けているのは、「意欲」ではないでしょうか。わたしの大学の授業では、日本の学生と留学生ができるだけ話す時間をつくるようにしています。留学生は刺激を受けて、その目は輝いていますが、日本の学生は大人しい。学生だけでなく、社会全体が無気力になってしまっている気がする。かつての日本はアジアで唯一の先進国としての気概がありましたが、いまは内向きというか、なにかあると「政治の責任」「外国の責任」といって片付けてしまいます。「世界の中流でいい」みたいに感じられて、残念ですね。

朱 建栄氏 プロフィール
しゅ けんえい 1957年中国・上海生まれ。上海国際問題研究所付属大学院修士課程修了。学習院大学で博士号(政治学)を取得。
 1986年総合研究開発機構(NIRA)客員教授として来日。学習院大学、東京大学非常勤講師などを経て東洋学園大学人文学部教授。中国の政治外交史を専門分野に、テレビ朝日「朝まで生テレビ」などでも活躍中。


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