一時的に79円75銭の史上最高値を更新してもおかしくない
このところ円安にふれたのは、日銀の利下げ観測の高まりと、株価の上昇によって円売りが強まったことによる。しかし、日銀ができる利下げは、無担保コール翌日物金利の誘導目標を、現在の年0.5%から0.25%引き下げることぐらい。低金利のため引き下げ余地がなく、効果がないというわけだ。
日銀は10月31日の金融政策決定会合で、国際協調の立場から利下げを検討する。嶌峰氏は、「もし、日銀が再び量的緩和を行うのであれば、大きな円安圧力になって、1ドル90円を超える円高は阻止できる」というが、その可能性はほとんどない。
日銀の副総裁に就任したばかりの山口広秀氏は10月27日の記者会見で、金利水準について「現在の政策金利0.5%の水準は、日本の経済成長率や物価上昇率との関係からみてきわめて低い、緩和的な水準が維持されている」と述べている。つまり量的緩和、「ゼロ金利」にしなくても、十分に金融緩和されていて、企業にも資金は回るはずとの認識にあるのだ。
そうなると、円高はしばらく進行するというアナリストらの見立てもうなずける。「為替相場は一度動きに弾みがつくと大きく動く可能性もあるので、一時的には1ドル79円75銭の史上最高値を更新する局面があってもおかしくない」(嶌峰氏)と話す。
多くの専門家たちが「円高は進む」、しかも1ドル=83‐85円の水準にまで上昇すると予測しているように、輸出企業は覚悟を決めなければならないようだ。