ジョインベスト証券がミス 顧客への通知が1日以上遅れる

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   野村ホールディングスが100%出資するインターネット証券、ジョインベスト証券(本社・東京都港区)が、2008年10月14日の日経平均株価急騰がきっかけになった自社のミスへの対応に追われている。ミスというのは、14日は取引でストップ高の銘柄が相次ぎ、同社にも買い注文が殺到。しかし、事務処理が膨大になり、売買が成立したとの顧客への通知が1日以上遅れたというもの。通知が遅れたため、売買機会を失った顧客も多く、金融庁も実態把握に乗り出している。

「売買は成立しないと思っていた」

   14日は、日経平均株価が前日終値比1171円高と、過去最高の上昇率(14.15%)を記録した。このため、同証券にはストップ高の銘柄に買い注文が殺到した。ストップ高で取引を終了した銘柄は「比例配分」という事務処理で一部の注文を成立させる。だが、同証券は大量の注文で処理が遅れ、各顧客の取引画面には、取引不成立を示す「失効」と表示した。

   同証券は、「失効」と表示すると同時に、ホームページ上では処理が遅れていると告知していた。だが、顧客が、14日の売買が成立したとの通知を受けたのは16日午前3時ごろで、16日の東京市場はほぼ全面安になり、日経平均は同1089円安と暴落。14日終値で比例配分を受けた顧客は高い株価で購入したことになってしまった。ある男性顧客は、「注文の状態がどうなっているか分からず、売買は成立しないと思っていた。しかし、1日以上遅れてから売買が成立したと通知されてはどうにもならず、これでは安心して株を売買できない」と憤慨する。東京証券取引所も「比例配分が1日以上遅れることは聞いたことがない」(幹部)とあきれ顔だ。金融庁から行政処分を下される可能性もある。

「対応があまりにも遅すぎるのではないか」という指摘

   また、ジョインベスト証券の情報公開に対する姿勢も問題視されている。今回の売買成立の通知が遅れた問題を正式に公表したのは25日の土曜日。「不手際を起こし、お客様に多大な迷惑をおかけいたしたことを、心から深くおわびいたします。申し訳ございませんでした」と公式に謝罪し、「顧客の意向を確認したうえで、誠実に対応する」との姿勢を示した。

   証券業界では「トラブル発生から顧客への対応があまりにも遅すぎるのではないか」(中堅証券)という指摘が出ている。別のネット証券も「ネット証券は顧客の顔が見えないだけに、利便性、注文の確実性が問われているのに、ジョインベスト証券の対応はお粗末すぎる」(役員)と批判する。

   ジョインベスト証券は06年に営業を開始。9月末の口座数は約28万口座で、SBI証券(約170万口座)などのネット証券と比べて大きく差が付いている。

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