長谷川洋三の産業ウォッチ
三井住友頭取危機の教訓:「貪欲を度を越さずに抑える」

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「不確実の変化の時代に強い会社が生き残るには、つまるところ人間の意思決定の様式に帰着する」

   三井住友銀行頭取(三井住友フィナンシャルグループ会長)の奥正之氏は2008年10月27日、東京都港区芝公園の東京プリンスホテルタワーで開かれた日本経済新聞など主催の第10回世界経営者会議で米国の金融危機の教訓についてこう述べた。奥頭取はサブプライムローン問題の教訓をリスク管理のポイントとして次の3点に要約した。

   奥頭取によると第一にコミュニケーション、第二にシステム、第三にバランスだという。

   具体的には、

1. 経営者は日ごろ関係部門と風通しをよくすることによってコミュニケーションをはかり、リスク情報を把握する必要がある。
2. また自己規制が発揮できる運営システムを根づかせる、ことも重要。
3. さらにGREED(貪欲)を度を越さずに抑えるよう、経営者がみずから線を引いて「節度」を守り、「程」を知ることが必要だ。

   奥頭取は講演後の帰り間際、米リーマンブラザーズ証券の破綻直後、なぜ関係の深いゴールドマンサックス証券に資本参加しなかったかについてたずねた私に「ファンドとの間で基本的な枠組みが先にできて参加する余地がなかったことが第一だが、それでよかったかどうかは今でもわからない」と語った。米金融危機の余波は27日に東京証券取引所の株値が再び暴落するなど続いている。それだけに誰も当時の意思決定がよかったかどうか推し量りかねているようだった。

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