イタリアンレストランチェーン・サイゼリヤで販売していたピザに微量の有害物質メラミンが検出された問題をめぐり、ネット上で「ピザ代を不正に返金してもらった」などといった書き込みが相次ぎ、問題化している。しかし、サイゼリヤ各店舗では、「明らかに不正請求」と思われる客が相次いでいるため、レジ記録を確認して返金を断るなど、毅然とした対応を取っていることが明らかになった。
大学生と思われる人物が「名演技により7500円get」
SNSの日記では「不正請求に成功した」と告白する日記が相次いでいる
サイゼリヤで販売していたピザに微量の有害物質メラミンが検出された問題で、サイゼリヤは2008年10月21日から10月28日まで、2008年9月25日~10月2日の期間に542店舗でピザを食べた客に、ピザ代の返金を行っている。同社は、レシートを持っていなくても返金に応じる、との方針をとったため、ピザを食べていないのに返金を要求する「不正請求」をする客も相次いでいるようだ。
インターネット上のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では、「不正請求に成功した」といった内容を日記に書き込んだ人物が相次いだことから、インターネット上で大きな騒動になった。
10月22日には、千葉県内の高校生が、ピザを食べていないのにピザ代の返金をサイゼリヤ店舗に求め、「4勝3敗」「3000円ほど稼がせていただいた」などとSNS日記に書き込んでいたことが判明。巨大掲示板「2ちゃんねる」などで騒ぎになり個人情報が晒されたほか、高校に問い合わせが相次いだ。各紙の報道によれば、生徒は店に謝罪して返金、県警八千代署に自ら届け出たという。さらに、10月27日には、大学生と思われる人物が、日記に
「四人でサイゼというサイゼ周りまくりぉれと●●の名演技により7500円get(笑)」(編注:●は実名)
などと書き込んだことから、この人物の個人情報がネット上に晒されるなど、同様の騒ぎが相次いでいる。
サイゼリヤ本社によれば、不正請求の件数は調査していないが、レシートがない場合でもレジ記録(POSデータ)で「いつ、どこで、何を食べたかが全部わかるようになっている」という。「不正請求」については、「店の判断で対応している」ということだ。つまり、大抵の「ウソ」は店頭で判明することになる。
レシートを持たない客には、食べたピザの種類や日時を聞く
渋谷区内のある店舗では、ピザの返金を始めた10月21日~26日までに、50件以上、6万円以上の返金に応じた。同店では、レシートを持たない客については、食べたピザの種類や日時を聞くようにしている。明らかに「不正請求」と思われるケースでは、ピザのなかで最も値段が高いものを5枚食べたという問い合わせがあり、レジ記録で確かめたところ、該当するピザがその時間帯に1枚しか販売されていなかったため、「お客さまのご要望は受けがたい」などと対応したという。こういったケースでは、客は「友達に頼まれたので日時を間違っていたのかもしれない」などと言って帰っていくのがほとんど。さらに、1人の人物が首都圏の各店舗を「不正請求」をするために回っているケースもあり、近隣店舗間ではこの人物の容姿などについての「警報」がメールで出されたこともあった。
「お客さんに不安を与えたのはこちらの責任で、誠意を持って対応したい。最初から疑うことはしないようにしている」
とある店舗担当者は話すが、「他のお客さんとの平等性という意味でも、常識をもって毅然とした対応を取ろうということになった」という。ただ、実際にピザを食べた客の記憶があいまいだったりすることもあるため、「不正請求」との線引きは難しい。そのため、「基本的にはお支払いする」という姿勢は変わらないらしい。