周辺に使用工場見当たらず 伊藤ハム地下水「シアン」混入の不思議

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   伊藤ハムの東京工場(千葉県柏市)でウィンナーとピザの製造に使っている地下水から基準値を超えるシアン化物が検出された。回収対象は自社ブランド13品目のほか、日本生活協同組合連合会などから受託製造している13品目が加わり、事態は広がりをみせている。しかし、シアン化物の混入経路はいまだ明らかになっていない。

工場の排水が汚染の原因?

   伊藤ハムが2008年9月18日に行った水質検査で検出されたシアン化物は、基準値の1リットルあたり0.01ミリグラムを超える0.02~0.03ミリグラム。人体に大量に吸収された場合、日本中毒情報センターによると、頭痛やめまいの後に、無呼吸、全身性痙攣、血圧低下となり、死亡することもある。同社は濃度からいっても「人体への影響はない」としているが、消費者からの苦情や問い合わせは殺到している。

   シアン化物は主にめっき加工する過程で使われ、食用加工品を作る工場が原因で検出されるとは考えがたい。環境省地下水・地盤対策の担当者は、

「地下水にシアンが混ざるという例は、頻繁にあるものではありません。混ざるとしたら、工業用水しか考えられないです」

と話す。

   伊藤ハムの工場周辺に、シアンを使っている工場があるのだろうか。工業用水の排出などを規制した「水質汚濁防止法」で、シアンを使用する場合は届け出ることが義務付けられている。ところが、柏市役所の担当者はこう答える。

「伊藤ハムの工場がある柏市根戸で、シアンを使っていると届け出ている工場はありません」
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