日本で英会話教師をしていた英国人女性、リンゼイ・アン・ホーカーさん(当時22)の殺害事件をめぐり、英高級紙が「日本の警察は『容疑者は自殺した』と断定した」と報じ、波紋が広がっている。日本の警察当局は「(自殺は)まったく聞いてない」と「自殺説」を全面否定する一方、英国の遺族は、日本の警察当局から自殺の可能性を知らされていたことを明かした上で、「捜査規模を縮小しないで」などとテレビで訴えている。
「生きていれば、すでに捕まっているはず」
英タイムズ紙の報道が波紋を広げている
事件は2007年3月、千葉県市川市のマンションでホーカーさんの遺体が発見され、千葉県警が、マンションに住んでいた無職・市橋達也容疑者(当時29)を殺人と死体遺棄容疑で指名手配したというもの。同県警は140人体制で容疑者の行方を追っているが、事件から1年7ヶ月がたった今でも、行方がつかめない状態が続いている。
そんな中、英高級紙「タイムズ」が、08年10月24日(英国時間)、「殺害犯は自殺」と報じたのだ。記事は
「リンゼー・ホーカーさんの殺害犯は、ほぼ確実に自殺したと日本警察が断定した」
との書き出しで始まり、その理由を
「公式には、警察は市橋容疑者の行方を積極的に追っていることになっているが、複数の捜査幹部は『容疑者が生きているのであれば、すでに捕まっているはずで、決して見つからない離れた場所で自殺したに違いない』と確信している」
と説明。あわせて、警察筋が周辺情報を語ったという。
「日本には非常に山が多いので、(市橋容疑者が)遠隔地の森林に入り込んで死亡した場合、誰も見つけられないかもしれない。千葉県警は捜査を続けているが、まもなく、間違いなく規模を縮小するだろう。東京では、すでに容疑者は死亡したと断定している」
あわせて、父親のビル・ホーカーさんは、千葉県警から今後の捜査体制縮小の可能性を伝えられたことを同紙に明らかにしている。10月23日(同)に、同紙に対して語ったという。
「(千葉県警は)スタッフの何人かを新しい人と入れ替えました。何らかの新しいアイディアが浮かんで、捜査がもっと活発になるかもしれないと思ったので、励まされました。でも、今回の『彼(市橋容疑者)が死んでいる』ということは、彼らの面子を守りつつ、捜査の縮小を許すための策略になりうる」