競合する自動車会社には譲れない
フォードとマツダ側が親しい企業に株式を売却する方針であるのは、両社が事業運営上、既に切り離せない関係にあり、競合する自動車会社には譲れないためだ。
フォードは1979年、経営不振に陥ったマツダに出資。96年にはマツダの経営権を握った。両社はこの間、自動車の開発で協力を進めてきたほか、今では、米国やタイ、中国で合弁工場も運営。最近は環境対応車開発でも協力関係にある。「両社が30年もかけて築き上げた関係を今さら壊すことなどあり得ない」(大手幹部)との声は強い。マツダが経営再建に成功し、今やフォード傘下の稼ぎ頭になったのも、フォード傘下で世界的な信用力を得たためでもある。
「フォードは経営危機を乗り切った段階で、再びマツダ株を買い戻すつもりではないか」(業界関係者)との観測さえ浮上するようになった。ただ、米国発の金融危機は深刻で、ビッグ3の破たん懸念も出ている。フォードが再建を果たす日はいつになるか誰にも予測できず、マツダにとっても、経営体制の見直しが急務なのは間違いない。