渡瀬恒彦も体験の振り込め詐欺 「携帯番号換え」など手口は進化

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「お客さまの番号は」などと言って振り込ませる

   新手では、なにげなく息子などを装って電話をかけてくる。そして、「お父さん、携帯電話を買い替えたので、電話番号を換えて!」などと伝えてくるのだ。そのときは、状況を探りながら、世間話をするだけで終わる。

   本番は、その3日後などだ。「実はお父さん、この間は言えなかったんだけど、横領がばれてしまって…。何とかならないかと」。同じ声であり、かけ直しても同じ番号なので、つい信じてしまう。愛媛銀行の担当者は、「警察は、被害に遭わないためにも本人確認しましょうと呼びかけています。しかし、この場合は、確認しても確認の意味がないんですね」と嘆く。

   次に、還付金詐欺も実に巧妙だ。

   電話では、社会保険事務所などを名乗り、「期限の8月31日までに還付金の手続きをしていらっしゃいませんね。実は、本日中なら手続きができます」などと誘う。被害者の「もらい損ねた」という金銭感覚に訴えるわけだ。

   さらに、誘導方法も抜け目ない。携帯電話で指示されるままに、ATMで「還付金手続き」をするわけだが、そのときに「お客さまの番号は、524369です」とだまし、52万4369円を振り込ませるのだ。これで、振り込み機会が少なく操作に慣れていない人なら、40~50代でも引っかかってしまうという。

   「振り込まないように呼びかけても、本人には『振り込んだ』という認識がないんですね。1か月後に、『お前んとこで引き出しただろう』という苦情が来たり、窓口に振り込みの明細を見せて『もらいました』と喜ぶ人がいたりします。詐欺と分かると、みなさん驚かれるんですよ」(愛媛銀行担当者)

   その対策のために、愛媛銀行が08年10月15日から導入したのが、ATMでの携帯電話の声から詐欺を突き止める富士ソフトのシステムだ。逆に、巧みな詐欺を支えるマニュアルの存在から会話パターンをパソコンで分析し、監視センターからのスピーカーでATMの客に注意を呼びかけるものだ。

   ただ、オレオレ詐欺のうち、被害者の3割が銀行職員から忠告や制止があったにもかかわらず、ATMや窓口で現金を振り込んでいることが、警視庁が10月12日までにまとめた調査で分かっている。こうした場合に、被害者をどのように説得できるかも、今後の課題になりそうだ。

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