麻生首相が夜の街へ繰り出す日は、歴代首相の中でもとりわけ多い。帰宅時間も結構遅い。深夜近くまでお酒を飲みながら、葉巻をくゆらせる姿が目撃されている。御曹司らしいナイトライフの充実ぶりがうかがえる。
夜の会合多く、平均帰宅時間は午後10時54分
ハンバーガーが大好物とは本当か(松本純官房副長官のホームページより)
東京・六本木のキッチン&バー「馬尻」。そこで、麻生太郎首相(68)が2008年10月18日夜に会食する姿が、翌日のフジテレビ系番組「サキヨミ」で放送された。
店の窓越しに撮影されたものだ。麻生首相は、左手で葉巻をくゆらせながらも、右手の携帯電話で何かを話している。その鋭い目つきから緊迫したやり取りが予想され、総選挙の時期について話していた可能性があるという。
番組では、松本純官房副長官が、インタビューに対し、「お好きな葉巻を1本40分ぐらいかけて、その間にいろんな話をする機会を設けています」と明かしていた。
ナイトライフの充実ぶりは、最近の首相でも特に目立っている。
読売新聞の10月19日付記事によると、政権発足後24日間の平均帰宅時間は、小泉元首相が午後9時7分、安倍元首相が同8時57分、福田前首相が同8時25分。これに対し、麻生首相は、午後10時54分だ。この間の夜会合は、5回の福田前首相に対し、なんと25回と5倍も多いのだ。新聞各紙の首相動静によると、会合のある店は、ホテル内の料理店や会員制バーが多い。
麻生首相の夜会合の多さは、今に始まったことではない。しんぶん赤旗の調べによると、資金管理団体が06年中に支出した飲食費は、約3500万円に上っている。2日に1回は会食している計算だ。中には、一晩で7件をはしごして約200万円を使った日もある。
総選挙に備えてのパフォーマンスか、10月19日は、東京・新宿区のスーパーで、バターの品切れはないかなどを視察して聞いた。庶民の暮らしを実感したかったようだが、その後、帝国ホテルで夕食を取っていたことがネット上で話題になっている。
解散時期の相談というのは、マスコミの幻想?
首相動静では、夕食の相手について、たいがい「秘書官」「官房副長官」などとなっている。ところが、それを名目に、別の人物と会ったり、携帯電話で情報交換をしたりしているらしいのだ。
08年10月16日夜は、マスコミへの発表では、東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京内の料理店で「秘書官と食事」とあった。しかし、目撃などから、中川昭一財務・金融相や菅義偉選対副委員長、甘利明行革担当相とも会っていたことが判明している。
松本官房副長官のホームページでは、夜会合は「ストレス発散」などと説明されている。一方、マスコミでは、解散・総選挙の時期について密談があるなどと報じられているが、真相はどうなのか。
政界に詳しいジャーナリストの上杉隆さんは、こうみる。
「解散時期の相談というのは、マスコミの幻想、作り話じゃないですか。麻生さんのは生活習慣になっていて、普通にご飯を食べながら出てくる話がほとんどでしょう。込み入った話はないんですよ。解散権は総理にあり、回りがこうすべきとは言えないはずです。中川さんは金融対策などについて、菅さんは選対の世論調査結果の説明などを話していたと思われますね」
アメリカが10月12日に北朝鮮のテロ支援国家指定を解除する、と連絡してきたとき、麻生首相は静岡県浜松市のバーで会食していたことがある。この点について、上杉さんは、こう話す。
「そのときは、外務省の秘書官がいなくて、対応するまで少し時間がかかりました。ですが、危機管理上は、秘書官がついていればいいのでは。いる場所よりも、その後の対応の方が重要です。むしろ、スーパー視察後に帝国ホテルで会食していたことが知れ渡るなど、庶民感情にどう影響するかの方が痛いのではないですか」