自治体や大学など、さまざまな場面で「ニコニコ動画」が活用されるなか、政党にも、その利用が広がっている。民主党は「小沢一郎チャンネル」で小沢一郎代表の演説などを配信しているほか、共産党が配信した国会質問の動画には、格差問題や偽装派遣問題への関心の高まりもあって、アクセスが集中している。自民党も「麻生自民党チャンネル」を開設したばかりで、「ニコ動」上でも、各党が争って政策を訴えている。
「志位和夫チャンネル」10日で5万8000回再生
「志位和夫チャンネル」の動画には、大量のコメントが寄せられている
政党で、最も早い段階で「ニコニコ動画」上に公式チャンネルを設置したのは、民主党だ。同党では、2008年9月26日に「小沢一郎チャンネル」を開設し、小沢代表や党役員のメッセージを配信。特に小沢代表のインタビューは、7万3000回以上再生されている。
獲得議席数と比べると、ネット上では非常に大きな存在感を持つのが共産党だ。同党では、10月9日に「志位和夫チャンネル」を開設。志位和夫委員長が10月7日に国会質問で請負問題を追及した場面を配信したところ、10日余りで5万8000回以上再生され、つけられたコメントは1万8000以上。
共産党側も反響の大きさに驚いている様子で、10月19日付の機関紙「しんぶん赤旗」に特集記事を掲載。「インターネットで共産党を知り入党する20代、30代の青年もいます」などと報じている。
共産党関連の動画と言えば、08年2月の国会質問の様子が、第三者によってユーチューブや「ニコ動」にアップロードされて注目を集めたのが記憶に新しいところ。ここであえて「ニコ動」に公式に参入した経緯を、共産党の宣伝部では
「もともと『ニコニコ動画』側からお話をいただいていたのですが、『小沢チャンネル』も始まったことですし、各党に声をかけておられるとのことでしたので、当方でも応じることにしました。もちろん、さまざまな機会に論戦を見ていただきたい、という思いもあります」
と説明する。
20日には「麻生自民党チャンネル」がオープン
「二コ動」では「荒れる」ことも多いコメントだが、
「確かにコメントには誹謗中傷などを含めて色々あるのですが、動画の内容に沿って共感していただいている、真面目なものが比較的多いと思っています」
と、現段階では肯定的に受け止めている様子だ。
それ以外の政党では、社民党が10月14日に「福島みずほチャンネル」を開設し、違法派遣が問題化したグッドウィル=08年7月末で廃業=への抗議活動の様子などを配信している。動画のBGMには革命歌「インターナショナル」が使用されており、党のカラーを主張。これまでに2万回以上が再生されている。
与党側も静観している訳ではなく、10月20日正午過ぎには、「麻生自民党チャンネル」がオープンしたばかりだ。トップページでは、麻生首相が
「麻生です。ニコニコ動画をご覧の皆さん、こんにちは!!いつも応援有難うございます」
と、笑顔で呼びかけており、現段階ではCMや記者会見など、8本の動画が公開されている。