結婚適齢期を迎えた男女の間で、結婚のための活動「婚活」がブームとなる中、この秋からペットのお見合い番組が始まった。動物系番組はたくさんあるけれども、お見合いをテーマにした企画は「日本初」という。いったい、どんな番組になるのだろうか?
初回はデヴィ夫人の愛犬登場
ペットのお見合いをテーマにした番組は、BS朝日系の「愛のワンニャン大作戦」。2008年10月17日にスタートした。初回はデヴィ夫人が飼っているトイプードルの3歳の雄と、視聴者が飼うトイプードルの雌がスタジオでお見合い。その後も視聴者からお見合いしたい犬猫を募集し、カップル成立の手助けをしていく。司会は、自らも犬を2頭飼っている俳優の高橋克典さんが務める。毎週金曜、午後10時から放送する。
ペットを飼っていない人からすれば、なんとまぁ親ばかな飼い主のための番組だろうと思うかもしれないが、動物系番組の人気は根強く、長寿番組も多い。視聴者が飼う犬猫が登場するテレビ東京系「ポチたま」は8年も続き、「まさお君」や「だいすけ君」といったアイドル犬も誕生した。ペットにとどまらず、動物全般を扱うTBS系クイズ番組「どうぶつ奇想天外」は番組名をリニューアルする前を含めて10年以上。志村けんさんが司会を務める日本テレビ系「天才!志村どうぶつ園」は4年続いている。しかし、お見合いをメインにした番組は「日本では初めて」で、BS朝日編成制作部の担当者は、「ペットを飼っている人にとってお見合いへの関心は高く、興味を持って観てもらえるのではないか」と期待している。
お見合いまでの段取りは、次のように進行する。まず、見合いを希望する飼い主は番組の公式ホームページから応募する。「お見合い参加者募集」のフォームに、性別、年齢、毛色、体重、交配経験、血統書の有無といった基本情報を入力。さらに性格や特徴、ペットの自慢や思い出、お見合い相手への希望など詳しく書く。人間の結婚情報サービスに登録すると同じような細かさだ。この情報を元にお見合い候補が選ばれ、飼い主の意向が合えばスタジオで「はじめまして」となる。初回のように芸能人のペットが相手というケースは、今後もあるそうだ。
「交配に関する注意点も伝える」
はじめは飼い主が立ち会い、慣れてきたらペットだけでのお見合いタイムとなる。犬の場合は家庭犬トレーニングインストラクターの鳴海治さんが、専門家の視点で相性を判定する。相性をみるポイントについて鳴海さんは
「相手に対して友好的かどうか、また反対にどの程度警戒心を持っているのかという2つの点で主に判断します。また相性がよくても今はその気になれない、という場合もあります。その辺りのやり取りが番組的にはおもしろいのではないかと思います」
ところで、お見合いをした途端、さかりがついて撮影どころでない、なんていう事態にはならないか。
「犬の場合、交配のタイミングは雌の生理の時期で決まります。生理から11~13日目が交配期間で、それ以外の時期には雄を受け入れようとしません。生理の期間は年に2回しかなく、つまり、交配時期は年に4日程度ということになります。その日を避けて収録しているので、番組の最中に、さかりがつくということはありません」
これまでに3本の収録が終わり、いずれも順調だったそうだ。お見合いが成立すれば、交配し、赤ちゃんが誕生することになる。見合い後についても追跡リポートをする予定だ。
日本ペットフード工業会によると、犬猫飼育数は年々増加傾向にあり、2007年度は犬が1252万2000頭、猫が1018万9000頭だ。ところが、ペットブームの影で年間10数万頭の犬猫が殺処分されている。その多くが子犬や子猫だ。子供が生まれても育てられないのに避妊をせず、飼い主自ら保健所に捨てに行くという無責任さが背後にある。鳴海さんは、こうした問題を踏まえて、
「動物愛護団体からすれば、繁殖を促す番組だという批判の声もあるでしょう。番組で交配に関する注意点をきちんと伝えて、納得してもらえるような内容にしていかないとならないと思います」
と話している。