大型スーパーの売り上げが伸び悩むなか、大手の「イトーヨーカ堂」が、今後5年程度をかけて約20の不採算店舗を閉鎖する方向で検討を始めたことがわかった。ライバル店の「イオン」も、従来は40店舗程度だった閉鎖対象の店舗を60店舗程度に拡大したことが明らかになったほか、西友や三越も不採算店舗を閉鎖する方針を明らかにしている。今後、大規模小売店には、リストラの嵐が吹き荒れそうな様相だ。
西友、イオンも店舗閉鎖を打ち出す
セブン&アイ・ホールディングスでは「3ヵ年計画以外には閉鎖の計画はない」と話している
大手スーパー「イトーヨーカドー」の運営会社「イトーヨーカ堂」などを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスは2008年10月9日、08年8月中間期の連結決算を発表した。営業利益は前年同期比3%増の1480億円で中間期としては過去最高になったが、これは、全体の7割の利益を稼ぐコンビニ事業の好調が主な要因だ。一方、スーパー事業の営業利益は161億円で前年同期比2%減。必ずしも好調とはいえない。
スーパー事業が不調なのは同社に限った話ではなく、西友が9月29日に、全国の不採算店舗のうち約20店舗を09年半ばまでに閉鎖することを発表しているほか、イオンも、08年7月には全国40店舗の閉鎖を明らかにしていたところ、08年9月になって、閉鎖対象店舗数を60店舗にまで広げたことが明らかになっている。
イトーヨーカ堂も例外ではない模様で、関係者がJ-CASTニュースに明らかにしたところによると「全国176店舗のうち、20店舗程度を、ここ5年程度で閉鎖する」という計画が進行しているというのだ。「30店舗閉鎖」という線もあったが、閉鎖対象が若干絞り込まれた模様だ。
ヨーカ堂の財務状況は大きく改善
この背景には、小売業界自体が「店舗数ばかり多くても消費自体が減退しており、利益が出ない」という状況に陥っていることがある。閉鎖の対象は、ほとんどが赤字・不採算店で、これらを閉鎖することで、イトーヨーカ堂の財務状況が大きく改善されるという。
なお、イトーヨーカ堂では、安売り店「ザ・プライス」を08年内に2~3店舗、09年度以降も5店舗程度を首都圏に出店することにしており、いずれも既存の「イトーヨーカドー」から衣替えしてオープンさせる、それ以外にも、08年4月に発表した3ヵ年の中期計画では、不採算店舗を3~5店舗閉鎖することになっている。
セブン&アイ・ホールディングスの広報担当者は、
「3ヵ年計画以外には閉鎖の計画はありません」
と話しており、「20店舗閉鎖計画」が表面化するまでには、しばらく時間がかかりそうだ。