「八百長のあるなしを言うのは、虚しい」
ネット上でも、八百長の是非は論議の的だ。
Q&Aサイト「ヤフー知恵袋」では、08年10月3日に「大相撲の八百長はあると思う」という質問が出され、「スポーツには、正々堂々と戦う爽快さや潔さを汚して欲しくない」「八百長に関しても有るんだろうけど無いものとして楽しみたい」などと意見が戦わされている。
この騒動について、ある相撲記者は、こう語る。
「八百長のあるなしを言うのは、虚しいと感じています。相撲は純粋なスポーツとは言えません。伝統芸能と言うと語弊があるかもしれませんが、一つの興行です。例えば、呼吸を合わせて立ち合いをするというのは、ほかのスポーツにはないことでしょう。伝統を否定すれば、部屋で雑魚寝をさせるのも人権侵害になります。近代化してしまうと、相撲が相撲でなくなる恐れがあります」
八百長の言葉についても、相撲界ではマイナスのキーワードではないと言う。
「相撲には、番付至上主義という考えがあり、横綱が優勝するのが一番収まりもいいとされています。ちゃんこ食べて、けいこして強くなる横綱のストーリーがあり、頑張って勝てばお客も幸せになれる。なるべく皆が楽しんで、お望みの結末がある。無気力相撲ではお客も喜びませんが、激しい組み合いなら文句を言わないでしょう」
末席で客がご飯を食べて、お酒も飲む。そんなところも含めて、歌舞伎に似ているという。
ただ、この相撲記者は、そもそもここまで騒動が広がったのは、相撲界に責任があるとする。
「『八百長はない』と、訴えたこと自体が問題なんですよ。相撲協会もこんなに報道されるとは思っていなかったでしょう。たとえ裁判に勝ったとしても、ますます相撲人気が落ちるでしょうね」