ベスト10の7~8割が邦画 収入4割減の洋画に「完勝」

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   「崖の上のポニョ」「花より男子ファイナル」などの邦画が絶好調、興行収入で洋画を凌ぐ勢いだ。最近のランキングでもベスト10の7~8割が邦画という状態が続き、2008年1~8月で前年同期比34%増の伸びを記録している。一方、大ヒットが期待された洋画作品は、国内では思うようにヒットせず、1~8月の興行収入で42%も前年を下回るペース。06年に邦画が洋画を興行収入で21年ぶりに逆転したが、07年は洋画がわずかに上回り、08年はそれが「再逆転」する可能性が強い。

海外メジャー5社は前年同期比42.3%減

ヒット作の続く邦画が好調だ
ヒット作の続く邦画が好調だ

   興行通信社が毎週発表する映画の週刊ランキング(10月11日~10月12日)では、トップ3を「容疑者Xの献身」「劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン」「おくりびと」の邦画が独占した。また、トップ10のうち洋画は2本にとどまっている。

   また、日本映画製作者連盟によると、2008年10月13日現在で08年の興行収入が10億円を超える映画作品は、邦画が27本、洋画が18本となっている。07年の年間ベースでは、邦画が29本、洋画が22本で、08年の邦画が07年のヒット本数に早くも届きそうな常態だ。

   08年1~8月で松竹、東宝、東映のメジャー3社の興行収入は前年同期比で34%増を記録したが、ワーナー・ブラザース、ウォルト・ディズニー、ソニー・ピクチャーズ、パラマウント・ピクチャーズ・ジャパンのメジャー5社は前年同期比42.3%減と大幅に落ち込んでいる。そのため映画業界では「(興行収入で)邦画が洋画を上回るのは濃厚」との見方が大勢だ。

   邦画では「崖の上のポニョ」が08年10月13日までに、観客動員1239万2400人、興行収入は149億1500万円を記録。「花より男子ファイナル」も同日までに動員630万4900人、興行収入は76億2800万円を記録した。配給元の東宝映画営業部によれば、「花より男子」の観客層は「(漫画の)原作やテレビを見ていた女性が中心」だったという。

   また08年10月4日に公開された「容疑者Xの献身」は、わずか10日間で140万3900人を動員し、興行収入は18億1400万円に上った。この作品は「容疑者Xの献身」(東野圭吾著)を原作にしたもので、テレビドラマ化もされた。東宝の調査によると、観客が映画の情報を知ったり、鑑賞したりする動機になったのは、原作本やテレビドラマだった。

「セックス・アンド・ザ・シティ」評判倒れ

「(原作本やテレビドラマなどの)複合的な要素があったことが、好成績につながっていると思われる。さらに作品自体の評価も高く、口コミ効果で今後もさらなる伸びを期待している」(映画営業部担当者)

という。東宝では「最終的には興行収入50億円も狙える好スタート」と見ている。

   08年の興行収入が10億円を超える邦画作品27本のうち東宝の作品は21本に上る。こうした好調を受け、同社は08年9月30日に09年2月期(08年3月~09年2月)業績予想を上方修正し、本業のもうけを示す営業利益を修正前から39%増の92億1500万円としている。映画業界では「東宝の頑張りが邦画の好調を牽引している」といった指摘もあるくらいだ。東宝では、「花より男子ファイナル」「容疑者Xの献身」のほかに「20世紀少年」「名探偵コナン 戦慄の楽譜」といった人気漫画・小説・アニメを原作とする映画を多く公開しており、固定ファンがいる作品を狙ったのが成功したとみられる。

   一方、米国で大ヒットとなった「セックス・アンド・ザ・シティ」「ダークナイト」は、国内では前評判ほどのヒットにはならず、それぞれ20億円前後、16億円前後の興行収入にとどまっている。

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