「『失礼な対応だ』と、あんたの会社の人事か総務に言うぞ」
悪質勧誘によるマンション購入は、国民生活センターの相談では、平均が約2400万円。これだけ高額な物件にもかかわらず、購入後の相談が1割も占めている。脅されたからといって、大金を出すまでする人がなぜいるのか。
そこには、「逆ギレ商法」と呼ばれる巧みな営業がある。買わない場合、次のような殺し文句で脅すというのだ。
「こんなに説明して分からないなんて、頭が悪い。人間じゃない」
「社会人としてどうなんだ。『失礼な対応だ』と、あんたの会社の人事か総務に言うぞ」
また、マンションに投資すれば、家賃収入などによる利殖ができるとうたい、購入を迫るケースも多いようだ。
東京経済大の村千鶴子教授(消費者法)は、こう指摘する。
「数千万円もするマンションを、セールスされて買うものだとは思えません。電話や訪問による勧誘について日本では自由ですが、それを認めるのは非常に問題だと思っています」
最近は、村教授の研究室にも毎日のように業者から勧誘の電話がかかってくるという。「自宅にも夜遅くかかってくるので、うんざりしています。ヤミ金融並みにひどいですね」
そのうえで、村教授はこう言う。
「金融危機を招いたアメリカのサブプライム問題も、悪質な勧誘を放置していたツケが出ている面があります。日本は、その後を追いかけているようにも感じますね」