資産の中身が不透明という見方
それは、アリコの財務情報の少なさだ。たとえば、アリコが保有していたAIG株は、世界的な金融危機によって、大幅に下落。4-6月期には1377億円の評価損を計上した。その結果、3月末に913.3%あったソルベンシー・マージン比率が809.6%に下がり、さらに7月以降もAIG株が下落したため、残りのAIG株(簿価2366億円)も毀損する可能性が高まっていた。
J-CASTニュースがAIGに、アリコの増資後(9月末時点)のソルベンシー・マージン比率を聞いたところ、「中間期決算前で数値を精査しているところなので、わかりません」と話した。株価7500円になったときも、「わからない」という。
このように、「アリコ・ジャパンは支社なので、これまでの日本の生保の買収とは違って不透明な点がある。そもそも、資産の痛みぐあいがわからないのに、1兆円は高すぎる」という保険関係者の声は少なくない。当初、アリコ買収に前向きだったアフラックのダニエル・エイモスCEOが、突然慎重になったのもそのためだ。
AIG株は「後がない」株価水準。買い手からすれば、株価下落が続けば資産価値が下がり、より割安で買収できる。一方のAIGは公的資金を受け入れていることもあって、できるだけ高値でアリコを売りたい。AIG日本法人は、「アリコなどの売却については、本国が交渉していて、いまのところ状況は伝わってきていません」と話す。