NHKの高視聴率に危機感 民放がドキュメンタリー重視

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「甘いものから急に辛いものはダメ」

   民放のゴールデンタイムと言えば、これまではバラエティ、ドラマの主戦場だった。TBS、テレ朝の2局は、そこからかなり思い切った方向に舵を切ったわけだ。

   芸能評論家の肥留間正明さんは、内外タイムスの08年10月4日付記事で、こう分析する。

「ダウンタウンをはじめとして10%を切るバラエティー番組が続出。鈍感なテレビ局も視聴者がバラエティーに、そっぽを向いていることに気づいたのだろう」

   そこで目を向けたのが、団塊世代も見られるドキュメンタリー番組らしい。しかし、いきなりNHKのお株を奪うようなことができるのだろうか。放送評論家の松尾羊一さんは、厳しい見方だ。

「民放キー局にも、昔はドキュメンタリー、教養番組を作る職人のプロデューサー、ディレクターがいました。ところが、各局は、彼らを放り出して、報道番組のローテーション勤務にしてしまったんです。確かに、外部の制作会社に頼ることはできますが、番組の見極めができるようなプロデューサーらを育てていません。視聴率を2、3回取ってダメなら、きっと止めますよ」

   ただ、ドキュメンタリーに対しては、社会的ニーズはあるという。

「秋葉原通り魔など、社会的に非常に奇妙な事件があって、今ある事実がテレビドラマなどより先行しているところがあります。そこに人々の関心が向いているのは確かですね」

   そのうえで、松尾さんはこう言う。

「昨日まで甘いものを作っていて、今日から辛いものと言っても視聴者は飛びつきません。ドキュメンタリーなら安直に作ることはできず、ものによっては1年かけなければならない場合もあるでしょう。ですから、テレビ局は、どういうコンテンツがいいのか、真剣に考えないとダメですよ」
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