支払い余力「健全」だった それでも大和生命突然破たん

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   大和生命が経営破たんした。生命保険会社の破たんは2001年3月の東京生命以来、7年ぶりのこと。リスクが大きい運用をしていたせいと見られるが、保険金の支払い余力を示す指数では「健全」とされていた。一般契約者にとってはあまりに突然の、呆気ない幕切れだ。

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大和生命の破たんに契約者も呆然……
大和生命の破たんに契約者も呆然……

   破たんした大和生命は114億9000万円の債務超過に陥っていた。4月頃から経営不振がささやかれていたが、2008年10月10日に東京地裁に更生特例法を申請した。負債総額は2695億600万円。9月中間期の純損失は110億4300万円の赤字となる見通しだ。

   同日朝、日本銀行で記者会見を開いた中園武雄社長は「世界的な金融市場の低迷を背景とした有価証券の下落が予想以上の速さで起こったことが債務超過につながった」と説明した。

   大きな損失を出した有価証券の運用。その中身は、驚くべき状況だった。大和生命が契約者から預かった保険料である運用資産残高は約2800億円で、このうちの約3割を、ヘッジファンドや資産担保証券(CDO)、不動産ファンド(REIT)、仕組み債といったオルタナティブ投資で運用していたというのだ。

   さらに、リーマン・ショック以降大幅に下落している株式投資については「言えない。あとは管財人に」(中園武雄社長)とだけ話し、あとはひたすら頭を下げた。オルタナティブ投資と、株式投資の多くが損を出したとみられる。

   業界関係者の中には、「中園社長は日興証券の出身で、資産運用に自信をもっていた。少々過剰になっていたのでは」との声もある。ある外資系証券の幹部は「生保の資金運用は長期投資が基本なので、おそらく外債での運用も少なくなかったのだろう。このところの円高で急激に悪化したのではないか」とみている。

セイホの経営悪化を事前察知は無理

   それにしても突然である。世界的な金融危機の日本への影響は、欧米に比べて軽微だったはず。契約者ならずとも生保への不信感は募り、「まだどこか、倒産するのではないか」と思ってしまう。なにか事前に知る術はないのだろうか。

   生保経営の健全性を図る指標に、保険金の支払い余力を示すソルベンシー・マージン比率がある。健全の目安とされるのは200%。ところが、大和生命の08年3月期の比率は555%と、大きく上回っていた。

   これについて、生保関係者は「ソルベンシー・マージン比率は、あくまで事業を継続できるかどうかの指標」と話す。ただ、3月末時点で国内生保の平均値が900%強だったから、大和生命の555%は低い。その分、「危ない」とはいえる。

   予兆はあった。各生保が8月に開示している08年度の第1四半期の財務情報が、大和生命はいっこうに開示されなかった。この段階で、かなり悪化していると推測はできる。

   かつて生保がバタバタと倒れたときは、経営不振の生保が予定利率の引き下げなどの措置をとったりしたので、「悪化していく」過程がある程度わかったりした。大和生命の場合も、4月あたりから「予定利率の引き下げを模索したり、スポンサー探しに奔走していたこと」を、中園社長も認めている。ただ、こうした動きを事前に察知するのは一般の契約者には無理だろう。

   とはいえ、長期契約の保険商品をなかなか解約するとは言えないし、せいぜいできることは新規加入しないことくらい。

   更生特例法の申請で、裁判所の管理下に置かれた大和生命の契約者は、保険契約をいわば「凍結」されたことで、これまで通り毎月の保険料を納め続けなければならない。その半面、支払われる保険金は9割まで。個人年金保険のような高利回りの商品はさらにカットされる可能性がある。

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