2008年9月の米国の新車販売台数は、前年同月比26.6%減の96万4873台で、93年2月以来、15年7カ月ぶりに100万台を切る水準に陥ったことが、米調査会社オートデータのまとめで分かった。米国メーカーと比べ、これまでは比較的堅調を維持してきた日本メーカーも軒並み2~3割減に落ち込むという惨状だ。米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題から始まった金融危機が日米の自動車業界に暗い影を落としつつある。
大型車だけでなく、自動車全般が売れない
全米首位の米ゼネラル・モーターズ(GM)は同15.5%減の28万1041台。自動車価格の大幅な割り引きという販売促進の効果で、下落率は平均よりもかなり抑えた。しかし、GMと並ぶ米大手3社(ビッグスリー)の一角であるフォード・モーターは同33.7%減の11万6301台、クライスラーは同32.8%減の10万7349台で、いずれも3割強の大幅減だ。
今回の調査で特に目立ったのは日本勢の不振といえる。GMに次ぐ全米2位のトヨタ自動車は同32.3%減の14万4260台。87年7月以来、21年2か月ぶりとなる減少幅だった。ホンダも同24%減の9万6626台、日産自動車も同36.8%減の5万9565台だった。
日本メーカーが大きな不振に転じた背景には、米証券大手リーマン・ブラザーズの破たんを機に、大型車だけでなく、自動車全般が売れなくなった事情がある。日本メーカーがこれまで堅調でいられたのは、景気低迷やガソリン高の中で、米消費者の需要が大型車から燃費の高い小型車やハイブリッド車に移ったためだ。大型車を得意としたビッグスリーに対し、日本メーカーは小型車やハイブリッド車に強みをもっており、当然のことながら、日本勢が受ける影響は比較的軽微だった。
金利をゼロにする大規模なキャンペーンをトヨタが始める
しかし、今や米国の個人消費全般の冷え込みは明らかで、「販売減を抑える手段はない」(大手メーカー)という状況だ。トヨタは10月、米国で主力の「カローラ」などに適用する自動車ローンの金利をゼロにする大規模なキャンペーンを始めた。深刻な販売減を食い止めるため、実質的な値下げで対抗しようとの狙いだ。ゼロ金利キャンペーンはビッグスリーの常とう手段とされるが、ブランドイメージを損なうリスクも大きい。トヨタがそんな対策にあえて踏み込むほどに厳しいのが、今の米市場の現状といえる。
2000年以降、年間1600万~1700万台を維持してきた米新車市場は、08年には1400万台まで落ちるとの見通しもある。金融危機に出口が見えない中、自動車販売がどこまで落ち込むかはまったく見通しもたたず、トヨタを筆頭に「09年3月期の業績予想の下方修正は必至」(国内メーカー)との声が強まっている。