次期解散・総選挙をにらみ、小泉政権の遺産である郵政民営化を見直す自民党の議員連盟「郵政研究会」(代表・山口俊一首相補佐官)が2008年10月2日、発足した。民主党が国民新党との次期選挙公約の合意に基づき、「郵政事業の抜本的見直し」をマニフェスト(政権公約)に明記する方針を示している以上、自民党としても「このまま民営化推進などと、黙って見ているわけにいかない」(幹部)のが現状だ。自民党は民主党に対抗し、4分社化や株式上場を見直すマニフェストをまとめるとみられるが、そのための地ならし役を務めるのが同研究会だ。自民党内部からは「もはや、自民党と民主党の考えに大きな差はない」との声も聞こえる。
研究会の主要ポストを造反組が占める
自民党本部で開かれた同研究会の初会合には、衆参の国会議員が65人、代理が25人出席。最終的には100人を超えるメンバーが参集するとみられ、自民党国会議員の関心の高さを伺わせた。郵政民営化の造反組とされながらも、麻生内閣で首相補佐官に抜擢されたた山口俊一氏が代表を務め、最高顧問に川崎二郎氏が就任。このほか造反組から顧問に藤井孝男氏、野田聖子氏、幹事長に古屋圭司氏、事務局長に森山裕氏が就任するなど、主要ポストを造反組が占めたのが特徴だ。
冒頭、川崎最高顧問は「郵便局会社と郵便事業会社を本当に分ける必要があったか。いつの間にか4つの会社に分かれたが、見直していいんじゃないか。株の持ち合いをきちんとしないと持たなくなるという議論もあった。合わせて検証してやっていこう」と、あいさつした。分社化や株式上場の見直しなど、民営化推進が金科玉条だった小泉政権時代では、議連といえども話題にすらできなかったが、麻生政権となり、本音ベースの議論が堂々とできるようになったということだろう。