米国の金融危機が世界中に「飛び火」して、株安が加速している。2008年10月8日の東京株式市場の日経平均も952円下げて9203円と、とうとう1万円を割った。経済に悪影響を及ぼすとされる株価の下落。厚生年金と国民年金、企業年金の1割が目減りしたとしても、20兆円超が吹っ飛ぶことになるのだから大変だ。
07年度の運用利回りはマイナス10.58%
株価下落は、株を持っている人にとって「資産価値の下落」になる。たとえば、1000円の株価が500円になれば、その資産は半分に目減りしたことになる。株で運用している年金資産も例外ではない。
年金資産はかつて、安全性の高い資産に重点投資する規制があったが、1997年12月に撤廃されて市場運用の割合を年々高めてきた。厚生年金と国民年金の給付財源となる年金積立金を管理・運用している年金積立金管理運用独立行政法人によると、現在の運用資産額は122兆9935億円。このうち、国内株式が12.22%、外国株式9.28%、財投債を除く国内債券が47.35%、外国債券8.29%の割合で運用。合わせて94兆8805億円を市場で運用している。
2008年3月末現在の企業年金の資産残高は約81兆円(信託協会調べ)。また、企業年金連合会が全国の厚生年金基金と企業年金の約1300を対象に実施した運用実態調査によると、年金資産のうち国内株式が23.49%、外国株式16.23%、国内債券24.94%、外国債券13.09%の割合で運用していて、07年度の運用利回りはマイナス10.58%だった。
企業年金連合会は、解散した企業年金などの原資を引き継いで運用しており、その資産は11兆7661億円(2007年度末)。内訳は、国内株式が23.2%、外国株式20.9%、国内債券34.2%、外国債券19.0%の割合で運用している。07年度の運用利回りはマイナス9.91%と、単年度でマイナスとなった。