「どこまで日本人と表記するかは新聞社の判断」
朝日新聞に対し、なぜ海外の報道と日本の報道にズレがあるのか聞いてみたところ、同社広報部は、
「南部陽一郎氏についてノーベル賞委員会がアメリカ人と発表していることは承知しています。
南部氏は小、中、高、大学と日本で教育を受け、湯川秀樹氏の薫陶を受けて理論物理学者の道に進み、大阪市立大教授になったあと、朝永振一郎氏の推薦で渡米しそのまま米国に研究の場を構えました。
ただ、現在も大阪市立大名誉教授であり、大阪大学に特別研究室をもち、大阪府には自宅があります。そうした実情を総合的に考え、見出しや前文などでは、小林、益川両氏を含め、日本人3人に物理学賞授賞と表記する一方で、略歴などでは南部氏について『米国籍』と明記しています」
と回答した。
別の大手新聞社は、アカデミー側が「受賞したのは日本人2人、アメリカ人1人」と発表したのは知っているが、
「どこまで日本人と表記するかは新聞社の判断で、今回の場合、3人としたほうが紙面的にもインパクトがあり、特に間違っている表現ではないと考えている」
ということだった。
確かに、日本人という定義はあいまいだ。 日本の国籍ありなしは関係ないというのが日本の新聞社の考え。外国に帰化しても日本人。つまり「民族」に重きを置いているのだろう。ただ、国際社会では国籍で判断するようだ。帰化した時点で、南部氏も日系の米国人と呼ぶのが正しいことになる。