約5500人もの社員引き継いで収益向上できるのか
野村HDは両部門の買収で、リーマンが自己資金で行った投資や取引での資産、負債は引き継がなかった。また、欧州・中東部門の買収額は2ドル(約210円)とも伝えられている。約5500人の雇用を引き継げば、数百億円規模の人件費が新たに発生することになるが、優れたノウハウを生かした経営で、収益を向上させることができれば、「リーマン買収は安い買い物」(野村HD役員)になるのは確か。だが、リーマン社員の流出が続き、野村HDが社員の能力を生かすことができなければ、無駄な投資として株主から責任を追及される事態になりかねない。
サブプライムローン問題が引き金になった欧米金融機関の再編劇で、野村HDは一定の存在感を内外に示した。買収後は、リーマンのアジア、欧州 部門でのビジネス展開ではリーマンの名前を使わず、野村の社名を用いるという。野村HDの決断が、どのような果実を生み出すのかについて未知数だが、その成否によって野村HDが持つパワーは大きく変動しそうだ。