倒産続発でも日本の銀行は余裕 不良債権比率むしろ減少のカラクリ

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   米国発の金融恐慌の影響で、邦銀に2008年9月中間期決算での赤字転落がちらつき始めた。建設・不動産業者の相次ぐ経営破たんで、貸し渋りや資金回収も目立ち、建設・不動産業者は「銀行が相次いで倒産した10年ほど前の金融危機のときよりも悲惨な状況」(大手不動産会社の関係者)と嘆く。ところが、一方の銀行はそれほど深刻な状態ではないようで、むしろ余裕すら見せるのだ。

比較的小さな案件まで協調融資を導入

   2008年夏から相次いでいる建設・不動産業者の経営破たん。帝国データバンクによると、08年に入って破たんした建設業者は2264件、不動産業者は277件(いずれも、8月末まで)に上った。ゼファーやアーバン・コーポレイションのように、株式を上場している企業の破たんは10月2日のエルクリエイト(マンション開発・分譲、ジャスダック)で21社を数えた。

   銀行にとっても、企業が倒産して貸したお金が返ってこなければ、不良債権が積みあがって経営を圧迫する。しかし相次ぐ破たんにも、銀行が不良債権に悩んでいるという話はあまり聞かないし、それどころか貸出金に占める不良債権の割合は低下している。なぜだろう。企業倒産が増えても銀行が「痛み」を感じないウラには米国流の融資手法、「シンジケートローン」(協調融資)の多用がある。

   協調融資はいま銀行が最も熱心に行う融資手法だ。不良債権処理に苦しんだ過去の教訓から、リスクが分散できて、かつ融資実績が伸ばせると、どの銀行も飛びつき、また金融庁も推奨した。当初こそ100億円を超えるような、融資金額の大きいケースが目立ったが、最近は総額30億円ほどの融資に数行が参加する、比較的小さな案件も少なくない。

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