三菱商事、三井物産、住友商事… 社員食堂と独身寮が復活 

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   社員食堂や独身寮が最近復活し始めた。「居酒屋風」社員食堂をオープンする商社も現れた。4社に1社が独身寮の充実を実施、検討しているという調査も出ている。どちらも、社員の親睦を深める場として、再評価されているらしい。

昼食代1000円以上はやはり痛い

   三菱商事は2009年5月、東京・丸の内の本社ビルに6年ぶりに社員食堂を復活させる。約600席を設け、最大で1500人が入る大規模な食堂で、定食が基本の和食や、ワッフルやクロワッサンを扱うカフェ形式、うどんやそばの即席メニューなど4タイプをそろえた。

   おしゃれスポットとして人気の「新丸の内ビルディング」や「丸の内ビルディング」が並ぶ丸の内では、1回の昼食代は1000円以上かかり、痛い出費になっている。同社でも弁当を持参して自分のデスクで食べる社員が多く、「社食」を求める声が上がっていた。加えて、社員のコミュニケーションを図る狙いもある。広報担当者は、

「同じ会社で働いていても、部署が異なれば仕事以外で話す機会があまりありません。食堂があれば、わざわざ機会を作らなくても他部署の人と交流するきっかけができます。また、夜にはお酒を扱う『居酒屋風』になるので、懇親の場として多目的に活用されることを期待しています」

としている。

   ちなみに、夜は居酒屋風にするというアイディアは、独身寮に住む若手社員の例がヒントになった。

「寮ごとに飲み会や色々なイベントを率先して企画し、親睦を深めています。最近の若手は仕事の域を超えてコミュニケーションの場を積極的に求めているようです。他部署の人と関係を築くことは仕事の上でも役に立つので、その風土を社内に取り入れられたらいいですね」

4社に1社が独身寮の充実を実施、検討している

   最近は独身寮も注目されている。住友商事は独身寮を07年から希望者全員に開放した。08年に入社した新入社員153人(総合職)のうち9割が入寮。全4棟あり、テニスコート、大浴場、卓球台、麻雀台のあるリゾートホテルさながらのところもある。同社広報は、「他部署の人や先輩とも話がしやすく、人脈が築けるという理由から、入寮を希望する人が多い」と明かす。今後も寮を増やすことを検討しているそうだ。

   三井物産は一時期、共同生活する寮タイプを1棟に減らしたが、06年から増やし、現在は8棟を借り上げている。すべてに共同食堂と7棟には共同浴場があり、広報によると若手はここで親睦を深めるのに積極的だという。

   人事・労務の総合情報センター、労務行政研究所(東京都港区)が行った独身寮の運営に関する実態調査によると、回答した211社のうち4社に1社が独身寮の充実を実施、検討していると答えている。調査は07年11月26日~08年1月28日に行った。

   同研究所の園田裕彦編集部長は、

「社員間の結束力を高めるためという視点で、数年前から注目されてきました。また最近は新卒採用が過熱するなか、一部の企業は人材を取り込むために独身寮を充実させているようです」

と説明する。

   かつて会社に普通にあった社員食堂や独身寮。バブル後の不況で仕事に直接関係のない福利厚生施設はどんどん切り捨てられた。ところが、ここにきて仕事の枠を超えて社員が親睦を図るという、日本独自の企業文化が再評価されている。「日本的経営」がある意味復活してきた、といえるかもしれない。

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