4社に1社が独身寮の充実を実施、検討している
最近は独身寮も注目されている。住友商事は独身寮を07年から希望者全員に開放した。08年に入社した新入社員153人(総合職)のうち9割が入寮。全4棟あり、テニスコート、大浴場、卓球台、麻雀台のあるリゾートホテルさながらのところもある。同社広報は、「他部署の人や先輩とも話がしやすく、人脈が築けるという理由から、入寮を希望する人が多い」と明かす。今後も寮を増やすことを検討しているそうだ。
三井物産は一時期、共同生活する寮タイプを1棟に減らしたが、06年から増やし、現在は8棟を借り上げている。すべてに共同食堂と7棟には共同浴場があり、広報によると若手はここで親睦を深めるのに積極的だという。
人事・労務の総合情報センター、労務行政研究所(東京都港区)が行った独身寮の運営に関する実態調査によると、回答した211社のうち4社に1社が独身寮の充実を実施、検討していると答えている。調査は07年11月26日~08年1月28日に行った。
同研究所の園田裕彦編集部長は、
「社員間の結束力を高めるためという視点で、数年前から注目されてきました。また最近は新卒採用が過熱するなか、一部の企業は人材を取り込むために独身寮を充実させているようです」
と説明する。
かつて会社に普通にあった社員食堂や独身寮。バブル後の不況で仕事に直接関係のない福利厚生施設はどんどん切り捨てられた。ところが、ここにきて仕事の枠を超えて社員が親睦を図るという、日本独自の企業文化が再評価されている。「日本的経営」がある意味復活してきた、といえるかもしれない。