外来種の毒ヘビ「血清」は国内で作られていない
こうしたことから大都会といえども毒ヘビに遭遇する運の悪い人もいる。毒ヘビ51匹を飼っていた男の隣の部屋で07年11月、女性がマムシにかまれて入院するという騒ぎがあった。男との関連性は警視庁が調査中だが、都会で野生のマムシに遭遇する可能性は低く、人に飼われていたことに間違いなさそうだ。
毒ヘビに遭遇したらどうすればいいのか。前出の日本蛇族学術研究所の鳥羽所長に対処を聞いた。
「ヘビのほうから向かってくることはありません。静かにその場から立ち去ることが第一です。自分で捕まえようとせず、すぐ通報しましょう」
万が一かまれた場合については、こうアドバイスする。
「毒は急には回りません。救急車を呼び、病院に行くだけの時間はありますので、落ち着いて行動してください。ただし、大きなヘビになるほど毒が入り込む量が多いので、緊急性が高くなります。運動神経が麻痺し、手遅れになれば呼吸困難に陥って命を落とすこともあります」
この時、もっとも重要なのがヘビの特徴を覚えておくこと。
「遠くからでもいいので、携帯カメラなどで写真を撮るのがベスト。ヘビの種類が特定できて、抗毒血清を打つ際に役立ちます」
血清は、かまれた種類と違うものを打っても意味がなく、種類を特定する必要がある。
ところで、鳥羽所長によると国内で作っている血清のほとんどが日本在来のヘビ、マムシとハブだ。大きな動物園でも外来種の毒ヘビを飼育していることはまれで、血清は作れないという。日本蛇族学術研究所には海外から仕入れた血清を置いているが、「たくさんはない」。また、遠くの地域から依頼された場合、輸送に時間がかかり間に合わないという最悪のケースも考えられる。
外来種の毒ヘビが闇取引され、こんな危険が潜んでいるのは意外と知られていない。