20代の40パーセント弱 シンプル携帯「支持」の意外

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   携帯電話でメールやインターネットができるのは当たり前で、ほとんどの機種にカメラやワンセグ機能がついている。クレジット機能がついた「おサイフケータイ」や、海外で通話やメールができるタイプもある。ところが、多機能化が進む一方で、「最低限の機能があればいい」というシンプル携帯派が20歳代のうち4割近くにのぼることがネット調査でわかった。

女性はほぼ半数がシンプル携帯を支持

   イマドキの携帯は1台で何役もこなす。最近では、日産自動車、シャープ、NTTドコモが共同で、自動車のドアの開閉や、エンジンの始動・停止ができる機能を搭載した携帯電話を開発し、09年度には商品化される予定だ。さらに、アップル社製の携帯端末「iPhone(アイフォーン)」や欧米で人気のビジネス用端末「ブラックベリー」といった、携帯電話と端末機能が一体化したスマートフォンも話題になっている。

   こうした携帯電話の多機能化が進む一方、ネットマーケティングを行うアイシェア(神奈川県横浜市)が行った調査で、こんな意外な結果が出た。20歳代から40歳代の男女801人を対象に「多機能携帯とシンプル携帯、どちらに注目しているか」と質問したところ、「シンプル携帯」と答えた人が全体の4割を占めた。

   内訳は女性が47.7%、男性が36.9%。女性はほぼ半数がシンプル携帯を支持している。また年代別では、20歳代が38.6%、30歳代が40.1%、40歳代が44.8%。20歳代の若者も高い割合で支持する。理由については、「最低限の機能があればいい」「多機能携帯は機能が複雑でわからない」としている。調査は2008年8月27日~29日に実施した。

   ここで言うシンプル携帯とは、累計販売台数が1000万台を突破したNTTドコモの「らくらくホン」のように、通話やメールといった基本機能に絞られた「簡単ケータイ」のことだ。ユーザーはシニア層に多いとされているだけに、本当に若者に注目されているのだろうか。

ソフトバンクは女性向けに機能を抑えた携帯発売

   NTTドコモは08年夏モデルとして、搭載機能を絞った「706ie」シリーズを発売した。「らくらくホン」のようなシニア向けではなく、20歳代~50歳代をターゲットにしている。全4機種あり、20歳代~30歳代がメインターゲットの「SH706ie」は、クリアな通話機能と文字がくっきりして見やすい画面が特長だ。広報担当者は、

「多機能化が進む一方で、シンプルさを求める声はシニア層に限らず各年代から上がっています。ひとえにシンプルといっても、人によって使いたい機能が異なるので、4機種それぞれ特長を変えています」

とPRする。

   また、ソフトバンクモバイルは08年夏モデルで女性向けに機能を抑えた携帯を複数発売。GPSやブルートゥース、おサイフ機能といった、同社のほとんどの製品についている機能を省いた。広報担当者によると、女性は多機能であることよりも使いやすさを重視するという。このため、長い爪でも押しやすいようボタンの凹凸をはっきりさせ、女性の手の中におさまる小さめのサイズにした。ちなみに若い人には「欠かせない」というワンセグやカメラ機能はついている。

   シンプル携帯を求める20歳代~40歳代が4割に上るという先の調査結果について、

「シンプルといってもカメラやワンセグ機能は欲しいという意見が若い人に多く、シニアや子供向けの『簡単ケータイ』がいい、ということはないと思います」

と話す。また、若者がシンプル携帯を支持するのは、機能が少ない分、多機能タイプに比べて端末価格が安いためではないかと、推測する。

   携帯キャリア各社は07年11月から料金体系を見直し、月々の通話料を下げる代わりに端末価格を上げた。新機種の価格相場は多機能タイプが5万円前後、シンプル携帯は3万円前後で、その差は2万円。豊富な機能が搭載されていても、使いきれるかわからない。それなら「最低限の機能で安いほうがいい」というのが、どうやら本音のようだ。

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