80年前には失業率20%超え、欠食児童の急増や娘の身売り
企業の連鎖倒産が起こり、失業者が町にあふれた日本に、追い討ちをかけたのが1929年10月24日のNY株価の大暴落、「暗黒の木曜日」だ。米国発の「恐慌」は世界に拡大、日本の失業率は20%を超え、農作物は売れないうえに冷害や凶作の大打撃を受けて、欠食児童の急増や娘の身売りが横行するなど危機的状況に陥った。
約80年を経て、そんなことが絵空事ではなくなってきた。世界的な株価の下落はすでに実体経済に悪影響を及ぼしはじめている。三菱UFJ、みずほ、三井住友などの大手銀行6グループの9月期末の株式の含み益は合計で約2兆8000億円と、3月期の約3兆8500億円から27%も減少。NY市場の「史上最大の下落」のせいで、銀行のみならず、企業の含み損は膨らんでいるはずだ。
企業の業績が悪化すれば、銀行は貸し出しの蛇口をしぼる。「貸し渋り」「貸しはがし」によって、企業は資金繰りに窮して倒産する。そうならないために、企業は給与カットや人員削減に手をつける。失業率は10%を超えて、ハローワークには失業者があふれる。モノは売れなくなり、値引き合戦で企業はさらに疲弊する。それでも売れない。
「株で損するよりはまし」と行き場を失った投資マネーは、銀行がバタバタ倒産した昭和恐慌のときのように、低金利でも大手銀行の預金に集中。とはいえ、銀行だって当てにならないから、「たんす預金」が復活する。こんな時代がやってくるのか。