「白物家電」はこれまで国内やアジアの一部にしぼってきた
実際、松下は社名変更を機に積極的なグローバル展開を目指している。その一つが冷蔵庫や洗濯機などの白物家電について、国際市場での事業を強化しようという動きだ。白物家電は世界各地の生活習慣などの違いから、これまでは日本国内や中国などアジアの一部にしぼってきた。しかし、松下は早ければ今年度中に欧州で白物家電を本格販売し、2010年度以降には北米市場にも製品を投入する方針だという。
「松下」の名を捨てることへの悲哀は社内でも少なくないはずだ。しかし、大坪社長は「世界中の従業員がチーム一丸となる」と繰り返し強調する。国内のライバル電機メーカー大手の幹部からは「松下の社名変更自体にそれほど大きなインパクを受けてはいない。ただ、恐れているのは、松下という伝統の名前をわざわざ捨てるショック療法で、松下社内の心理的な一体感が高まることだ」との声も聞こえる。社名変更の成否は、いかに社員が結束を強め、新生パナソニックを築き上げるかにかかっているといえそうだ。