東芝は低価格の超小型ノートパソコンを、2008年10月下旬に発売する。すでにアスース・ジャパンが「5万円パソコン」を投入、「EeePC」はヒット商品となっている。PCシェアで世界首位の米ヒューレット・パッカード(HP)が6月に参戦。国内勢も富士通やソニーが名乗りをあげており、ノートパソコン市場の競争は激化する一方だ。
8月のパソコン販売 伸びているのはノートPCだけ
東芝の低価格パソコン「NB100」
電子情報技術産業協会(JEITA)が2008年9月29日に発表した8月のパソコン国内出荷実績よると、出荷台数は前年同月比6.9%増の69万1000台。個人向けが好調で、2か月ぶりのプラスに転じた。
この個人向けパソコンの伸びを支えているのがノートパソコンだ。出荷台数のうち、ノートPCは17.6%増の47万8000台と伸ばし、全体の構成比で約7割を占めた。出荷金額では同7.1%増の536億円だった。
一方、デスクトップ型は前年同月比11.1%減の21万3000台。出荷金額でも同17%減の215億円と振るわなかった。その結果、出荷台数は伸びたが、単価の下落などで出荷金額は1.1%減の751億円にとどまった。
JEITAは、「もともと日本は欧米に比べてノートPCの割合が高いんです。ウィンドウズ・ビスタが出て1年になりますし、Windows XPの駆け込み需要もあるでしょう。いずれにしても2台目需要の高まりがノート型人気の背景のようです」と話している。
ただし、JEITAのデータにはいま売れているアスース・ジャパンの「EeePC」やヒューレット・パッカード(HP)の「G7000 Notebook PC」などは含まれていない。
ある家電量販店の話では「買い替えでもノートPCを求めるケースが増えていて、売れ筋は圧倒的にノート型。値下げ競争も激しくなっている」とのこと。これに「5万円パソコン」の登場がノートPC全体の価格を押し下げて、売上げアップに貢献しているといえそうだ。
国内勢も続々参入
こうした中で、東芝は9月29日、低価格の超小型ノートPC「dynabook NB100」を10月下旬から発売すると発表した。先行する「5万円パソコン」より多少高めの7万円台だが、「デザインやブランド力、サポート力などからみて価格は妥当なところ。2台目需要や、WEBやメールに特化したPCを求める声に対応した」と話している。
日本の「5万円パソコン」市場は、台湾のアスースや米国のHP、国内勢では受注生産方式(Build to Order)の直販メーカーであるマウスコンピューターが先行した。国内大手では東芝が初めての参入とされる。
大手では富士通が5万円前後のノートPCを、年内をめどに中国で発売する計画を発表。「SOTEC」ブランドを展開するオンキョーは、低価格PCの第1弾として「SOTEC C1」を10月10日に発売する。
デルは、インテルのCPU「Atom」を搭載した低価格ノートPC「Inspiron Mini9」を発売したばかり。Windows XP Home Editionを搭載する「プレミアムパッケージ」の価格は5万7980円だが、Linux系OSを搭載した「ベーシックパッケージ」を選んだ場合は4万9980円で、なんと5万円を切った。
「5万円パソコン」市場は、今後さらに国内外のメーカーが入り乱れての大激戦が繰り広げられそうだ。